後輩の転職相談に乗っていると、面接練習の段階で必ずと言っていいほど聞かれる質問があります。「御社と貴社、どっちを使えばいいんですか」。今回はこの、地味だけど気になる「会社の呼び方」について、経理・税理士事務所での実務経験も交えて整理します。
基本ルールは「書き言葉は貴社、話し言葉は御社」
結論から言うと、メールや履歴書、契約書など文字で書く場面では「貴社」、面接や電話など声に出す場面では「御社」を使うのが基本ルールです。理由は単純で、「貴社」を声に出すと「記者」「汽車」などと同音異義語が多く、聞き手が混乱しやすいためだと言われています。
| 場面 | 使う言葉 |
|---|---|
| 面接・電話・打ち合わせ | 御社 |
| 履歴書・職務経歴書・メール・契約書 | 貴社 |
| 取引先を電話で話題にするとき | 御社(口頭なので) |
とはいえ、厳密すぎるルールではない
ここまで言っておいてなんですが、このルールはそこまで厳密なものではありません。メールの文中でうっかり「御社」と書いてしまっても、わざわざ訂正の連絡を入れるほどのミスではないですし、電話で「貴社」と言い間違えたところで、相手が気分を害することはまずないでしょう。どちらも相手を敬う表現であることに変わりはないからです。
税理士事務所で電話番をしていた頃、先輩から「言葉遣いより先に、まず落ち着いて聞き取ることを優先しろ」と言われたことがあります。マナーを完璧にすることより、相手の話を正確に理解して対応することのほうが、実務ではよほど重要です。
自社を指すときは「弊社」「当社」
ついでに整理しておくと、自分の会社を指す言葉にも使い分けがあります。「弊社」はへりくだった言い方で社外向け、「当社」はへりくだりのニュアンスがなく社内向け・プレスリリースなどフォーマルな場面向けとされています。税理士事務所の顧問先対応では「弊社」を使う場面が圧倒的に多い印象です。
取引先の会社名、電話ではどう呼ぶ?
もう一つよく質問されるのが、取引先の社名そのものの呼び方です。正式名称が長い会社でも、電話の最初の名乗りでは正式名称をきちんと使い、以降の会話では失礼にならない範囲で短縮しても問題ありません。ただし請求書や契約書などの書面には、必ず正式名称をそのまま使うこと。ここを省略してしまうミスは経理の実務でも意外とよく見かけます。
まとめ:迷ったら口頭は御社、文字は貴社
細かいルールをすべて覚える必要はありません。「話すときは御社、書くときは貴社」というシンプルな軸さえ持っておけば、面接でも実務でも困ることはないはずです。
面接での言葉遣い全般については会計事務所の面接対策【よくある質問と回答例】でも触れているので、あわせてチェックしてみてください。