「この業務、CopilotやAIエージェントで回せるよね? 人の採用は一旦見送ろう」
年明け早々、あるnote記事が経理界隈でちょっとした話題になっていました。書いたのは、上場企業で採用担当もしている経理次長の方です。現場で実際に交わされているというこのセリフを読んで、僕のところにも「これ、他人事じゃないですよね…」という相談が立て続けに来ました。
表向きは「AIで効率化できて助かります」と言いながら、本音では「自分の仕事、あと何年もつんだろう」と不安を抱えている。そんな空気を、最近の相談ではひしひしと感じます。
今日は、この「経理×AI失業不安」について、僕なりに整理してお伝えします。不安を煽って終わりにするつもりはありません。最後まで読めば、今日から何をすればいいかがはっきりするはずです。
「AIに仕事を奪われる」空気が、なぜここまで広がっているのか
先のnote記事でも指摘されていましたが、これまで「人手が足りないから採用しよう」だった判断が、「この作業、AIに任せれば足りるのでは」に置き換わりつつあります。定型的なバックオフィス業務の求人が、水面下で静かにクローズされているという話も、あながち大げさではありません。
生成AI関連の話題自体、note全体で見ても勢いのあるジャンルです。そこに「経理」という具体的な職種がかけ合わさることで、検索でもSNSでも一気に伸びている。つまり、あなたが感じている不安は、あなた一人の思い過ごしではなく、業界全体で同時多発的に起きている現象だということです。
あなたの経理スキル、値札はまだついていますか?
まず結論から言うと、「代替される側」に近いのは、次のような業務を"作業"としてこなしているだけの人です。
- 請求書や領収書のデータ入力、仕訳の起票
- Excelでの集計・突合作業(VLOOKUPやピボットテーブルが中心)
- 決まったフォーマットへの転記、月次の定型レポート作成
- 銀行振込や経費精算のチェックだけで完結する業務
正直に言うと、これらは以前は「できて当たり前」レベルでしたが、今は「AIに指示すれば数十秒で終わる」領域に入りつつあります。VLOOKUPやピボットが使えることは、もう面接での加点にはなりません。「それ、AIに聞けば一瞬ですよね」と思われて終わりです。
一方で、「この数字はなぜこうなっているのか」を説明できる人、業務フローそのものを見直して仕組み化できる人、AIの出したアウトプットの正しさを判断できる人は、今のところ代替が難しい側に立っています。
簿記資格はもう意味がない?という質問に僕が答えるなら
これもよく聞かれる質問です。結論、簿記の知識そのものは、これからも要ります。仕訳のルールも決算の仕組みも分からないままAIに任せていたら、AIの出す数字が合っているかどうかすら判断できないからです。
ただし、簿記資格は「入り口の切符」であって、「一生モノの武器」ではなくなりました。以前は簿記2級を持っているだけで書類選考が通ったような時代もありましたが、今は「持っていて当然」の前提条件です。資格の先にある実務力、つまり数字を読んで判断する力、業務を設計する力があるかどうかで評価が分かれます。
これから経理を目指す人が、今日からできる3つの準備
「未経験からでは、もう遅いのでは」という声もよく聞きますが、僕の答えは「今からでも遅くない、ただしやり方を選べ」です。
1つ目は、簿記3級・2級レベルの基礎知識をつけること。ここは変わらず必要な土台です。
2つ目は、ChatGPTやCopilotなどの生成AIを、実際の経理っぽい作業(仕訳のパターン整理や、規程の要約など)で一度使ってみること。触ったことがある人とない人の差は、面接で驚くほど出ます。
3つ目は、応募する会社選びの段階で「AI・システム化に前向きな会社かどうか」を見る目を持つこと。ここを見誤ると、入ってから「結局、単純作業だけを延々とやらされる」ことになりかねません。
スキルの棚卸しをした上で、実際に転職市場を見てみたい人は、こちらの記事で経理・会計に強い転職エージェントを比較していますので、参考にしてみてください。
「使われる経理」で終わるか、「使いこなす経理」に化けるか
僕自身、税理士事務所でひたすら数字を右から左へ動かすだけの日々を過ごした時期があります。あの頃の自分がもし今のAIを持っていたら、と考えると複雑な気持ちになりますが、同時に「今から始める人のほうが有利かもしれない」とも思います。学び直す量が、経験者よりむしろ少なくて済むからです。
転職は「今すぐ動くべきか、様子見か」で悩む人も多いですが、動くこと自体を急ぐ必要はありません。むしろ急ぐべきは、自分の業務のどこがAIに置き換わりやすく、どこが自分にしか出せない価値なのかを、棚卸ししてみることです。それさえできれば、動くタイミングは自然と見えてきます。
不安を感じるのは、あなたがちゃんと市場を見ている証拠です。あとは、その不安を「棚卸し」という具体的な一歩に変えるだけ。今日、その最初の一歩を踏み出してみませんか。