- 税理士は独立しやすいって言われるけど、これ本当?
- 独立して食っていくのは厳しい?
- 稼げる税理士になるにはどうすればいい?
この記事を読んでいるみなさんは、
きっと税理士として独立することを目指しておられる方だと思います。
資格の予備校のパンフレットには税理士になれば独立できる!と大々的にのっていますよね。
確かに、税理士という職業は独立に向いている資格と言えます。
名称独占だけでなくて業務独占(税理士資格を持っている人じゃないとできない業務)がありますので、ある程度食っていくことは可能でしょう。
私は会計事務所勤務をへて、
2020年に税理士登録して個人事務所を開業しました。
(つまり税理士として独立しました)
その直後にコロナ禍となりなかなか厳しいこともありますが、
現在のところはなんとか利益を出すことができています。
ただ、2023年現在、税理士の独立は厳しい状況になっているのが現実です。
そして、それは今後ますます加速していくでしょう。
もちろん、税理士という職業そのものは今後もずっと必要とされていくと思いますが、独立して食っていけるかどうか?は別問題なんです。
独立するということは、経営者になるということですから、
税理士としての専門スキル(税務申告の技術)とはまったく別の才能が求められることを理解しておきましょう。
(具体的には、顧客を開拓して売上をあげられる能力が必要になります)
この記事では、税理士開業から1年経った私自身の現状から、
税理士が独立するメリットとデメリットの両方を書いていきます。
税理士として生きていく方法は独立だけではありませんので、
別の選択肢(勤務税理士や、企業の経理管理職など)と比較しながらご自身のキャリアを検討してみてください。
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ブログ管理人
1985年生まれ。未経験ニートで会計事務所入社→月給16万円で地獄のような目にあう→何度か転職して年収600万円→会計事務所から経理に転職→現在は経理の管理職/2018年開始の当ブログも6年目突入!おかげさまで毎月1万人(累計34万人超)の方に読まれています。
この記事の目次
税理士が「独立しても食えない」と言われる理由
1. 会計ソフトの優秀化
「税理士業界の変化(食えなくなった)」という話題の中で、
もっとも言われることが多いのがこれですね。
近年、様々な会計ソフトが改良されており、
専門的な知識がなくても使用できるものが増えています。
これらの会計ソフトは月1000円程度で使えるものが多く、
税理士に依頼するよりはるかに低コストで済ませることができます。
もちろん、「会計ソフトが安くても、税務の申告まで自力でやれる人はそんなに多くないはず…」と考える方は多いでしょう。
ほんの数年前まではそれも正しかったです。
会計ソフトがかんたんになったといっても、ある程度の会計や税務知識が必要でした。
しかし、2023年現在はさらに時代は進んでしまっています。
個人事業主の事業所得申告などなら、
本当に「知識ゼロの完全シロウトさんでも、自力でできるようになっている」のが現状ですね。
これにともなって改行税理士の個人事業主顧客は、
どんどん減少していくのは間違いないでしょう。
本当に顧客を増やしにくい状況になっています。
「法人顧客の獲得競争」へシフトが進んでいく
一方で、法人企業の場合は「すべて自力で税務申告までやれる人」は少ないのが現状です。
税務申告書が複雑になるため、税理士が必要になる場合が多いです。
ただし、自社で会計ソフトを利用しており、
申告書の作成だけを税理士に依頼するケースもあります。
その場合、客単価は大きく減少するため、それだけで食べていくことは難しいです。
例えば私が勤務している会計事務所では、以下のような客単価になっています。
月額顧問料 | 決算の報酬額 | ||
会計入力あり | 決算のみの場合 | ||
年間売上1000万円未満 | 10000円~ | 50000円~ | 20000円~ |
年間売上1000~5000万円 | 20000円~ | 80000円~ | 50000円~ |
年間売上5000万円以上 | 50000円~ | 120000円~ | 90000円~ |
また、年末調整は1人当たり1000円、
税務調査の立ち合いは1日当たり30000円~となっています。
>>それでも税理士として独立を目指す人はこれを知っておいてください
2. 格安税理士の台頭
格安税理士とは、価格勝負をしている税理士事務所のことを言います。
以前は、税理士法により報酬額は守られていましたが、改正により自由化され、価格競争が激しくなっています。
実際に税理士の報酬額の相場や報酬額を比較できるサイトも登場しています。
報酬額が安いといくら仕事を受注できたとしても、
仕事量に限界があり、独立してもすぐに食べていけない税理士になります。
私が勤めている税理士事務所も低価格を売りにしています。
その分、従業員もたくさん雇用し、薄利多売で儲けが出るような戦略を取っています。
(従業員数はパートを含めて13名、売上高は約1億円です)
このような戦略には従業員雇用など金額の大きな投資が必要になります。
独立したての税理士にとっては大きなリスクと言えます。
それを打ち破るためには、プラスアルファの付加価値(コミュニケーション能力や専門性の強化)を提供する対策が必要になります。
そして、高い顧問料をもらえる体制の整備が必要になります。
私が勤めている税理士事務所では、相続税に強く、この分野では高い顧問料を得られているとのことです。
このように特定の分野で専門性を高めることで高い顧問料をもらうことができます。
>>それでも税理士として独立を目指す人はこれを知っておいてください
10年以内に独立開業目指す人へ!食っていける税理士になる方法
1. 税理士資格は遅くとも5年以内に取得すること
税理士資格は遅くとも5年以内に取得されることをおすすめします。
その理由は、税理士資格を取得できないのは外部環境が整っておらず、対応できていないためであると考えられるからです。
例えば、転職を考えている税理士事務所で税理士の資格を取得できた先輩や同僚は何人いるか必ず確認しましょう。
いない場合は、従業員の士気が低かったり、勉強できる環境が整っていない可能性があります。
あなたの事務所はどうでしょうか?
税理士を目指す人が少なく、近年税理士資格の取得者は出ていない状態なら、ちょっと注意が必要かもしれませんね。
税理士試験勉強を長期化させないように気をつけてください。
税理士試験に毎年合格者を出している事務所への転職も選択肢に入れることが大切です。
>>それでも税理士として独立を目指す人はこれを知っておいてください
2.「質の高い実務経験を積める事務所」で経験を積まないとダメ
先ほど説明したように、ある程度の年収を確保できる税理士になるためには付加価値が求められます。
この付加価値は基本的には税理士試験の勉強だけで得ることはできません。
コミュニケーション能力を向上させるためには、顧問先を任せてもらい、経験を積むことが重要です。
逆に、顧問先を任せてもらうことができないと、内勤業務がメインになるため、顧問先のニーズ収集や自身のコミュニケーション力を高めることができません。
そうなると食べていける税理士になることはできません。
また、資産税や医療法人の分野など税理士がもうけられる分野で実務経験を積むことも重要です。
このように廃業せず、経営できている税理士事務所ではスタッフの教育体制を構築していることが多いです。
例えば、従業員の外部研修参加の推奨や適切に目標を設定して従業員のモチベーションを向上させています。
これにより、サービスの質が向上し、顧客単価を高めることができます。
このような税理士事務所で勤務できると付加価値を提供できる食べていける税理士になれます。
転職の際には、この点に注意して税理士事務所を探しましょう。
>>それでも税理士として独立を目指す人はこれを知っておいてください
会計事務所は「コンビニの数ほどある」のが現状?
昔ながらの会計事務所(税理士事務所)って、基本的に住宅地に事務所をおくことが多いですね。
近所を散歩すると、会計事務所ってたくさん見つかります。
コンビニよりもたくさんあるんじゃないかな。
どこの事務所でもガラス張りの立派な建物ではなく、普通の民家に地味な看板なんてとこもいっぱいです。
税理士って、資格さえとってしまえば開業するのはものすごく簡単なんです。
ものを仕入れてきて売るような仕事ではないですから、自宅で机と電卓があれば開業できます。
(つまり小資本で開業できる)
これが何を意味しているのか?というと、競合(ライバル)が多いということです。
同じ地域で開業している同業の税理士は顧客をとりあうライバルです。
独立開業してやっていく以上「別の税理士ではなく、ぜひうちに!」という努力はさけて通れません。
もちろん、最近は副業などで個人事業主になる人も増えているので、
顧客の開拓もやりやすくなっているでしょう。
しかし、開業したての個人事業主が払ってくれる顧問料ははっきりいってとても安いです(それでいてかかる手間は多い)
売上規模が大きく、高い顧問料を払ってくれる「おいしい顧客」については、
大手や老舗の事務所や税理士法人がにぎっていてなかなか入り込むのは厳しい…というのが現実だと感じます。
>>それでも税理士として独立を目指す人はこれを知っておいてください
薄利多売の税理士は仕事がとてもしんどい
税理士ももちろん商売です。
お客さんに喜んでもらえるのがベストですけど、自分の事務所がつぶれないように稼がないといけません。
↓税理士のビジネスってとても単純です。
売上 = 顧問料単価 × 顧問先の数
ここから経費を引いてプラスにできれば「稼げている」税理士ということになります。
で、売上を増やそうと思ったら、顧問料単価をあげるか、顧問先の数を増やすかのどちらかしかありません。
ただ、安易に顧問先の数を増やすと大変なことになります。
いわゆる「薄利多売」のかたちになってしまうと、税理士ビジネスは大変しんどいことになってしまうからです。
税理士業務って、1件お客様が増えるとやらなければならないことが、想像以上に増えます。
小さな企業や個人事業(顧問料は安くお願いされています)であっても仕事にかかる手間や労力、責任はそれほど変わらないからです。
20件や30件程度の顧問先数なら自力でなんとか回せるかもしれませんが、
それ以上になると自分以外のマンパワーが必要となります。
そうなると従業員さんを雇うという方向性になるのですが、それはそれで固定費に悩むことになります。
税理士のお客さんって中小零細企業の人たちです。
経営状況が悪くていきなり倒産…なんてことも普通にあります。
そうなると売上は減りますが、従業員をいきなりクビにすることは法律上できないので、
売上からお給料を払えなくなったら自分のポケットマネーから払うことになります。
また、雇った人が最初から担当を持てるレベルの人かはわからないので、教育もしないといけません。
会計ソフトや見積もりサービスの優秀化も開業税理士には逆風
税理士の顧問料単価はどんどん下がっているのが現実です。
ひと昔前は個人事業主でも月額顧問料3万円払ってくれるような時代もありましたが、今は「顧問料基本0円!」みたいな記帳代行業者もあります。
「税理士顧問料無料見積もりサービス」みたいなサイトも増えてきました。
↓※こんな感じの見積もりサイト
これは車とかバイクの買取査定と同じように、
複数の税理士に顧問料の見積もりをワンタッチで出してもらえるサイトです。
ひと昔前はよくわからなかった「税理士顧問料の相場感」を、企業側もスマホ一つで把握できるようになりました。
当然、基本的にお客さんは
一番安い顧問料の税理士を選びますから、
「うちはもっと安くやります!」
という税理士同士の価格競争になっていきます。
また、会計ソフトがとても優秀になっていることも開業税理士にとっては逆風です。
今は確定申告ぐらいは自分でやる自営業者がほとんどです。
当然ながら、こういう人たちはかなり事業規模が大きくなるまでは税理士と顧問契約なんてしませんから、顧客の数を減らすバイアスになっています。
税理士業界は昔ながらの「先生ビジネス」ではうまくいかなくなっているのが現状です。
高い顧問料を払ってもらえるように、
別の税理士では提供できないなにかしらの付加価値がないとそうとうに厳しいです。
それでも税理士として独立開業を目指す人へ
ここまで、税理士の独立についてかなり悲観的なことを書いてきました。
それじゃもう、税理士は独立ができない資格になってしまったのか?というと、そうでもありません。
仕事と人脈に自信が持てるようになるまでは勤務税理士として働き、
しっかりと準備をしていけば独立後にきちんと利益を出していくことは可能だと思っています(実際、私はそうしています)
稼げる開業税理士になるために、
↓勤務税理士時代からやっておくべきことはこの2つです。
- この分野なら他の税理士に負けないという得意分野を持つ
- 顧問先を増やして儲けるという発想から抜け出す
つまり「高い顧問料単価を設定できる税理士になりましょう」ということですね。
よその事務所ではなかなか提供できない
税務・会計サービスで、
顧問料単価を上げることを考えるのが大切です。
問題は、これを実現するにはどうしたら良いのか?ですが、
勤務税理士時代に「税理士としてどのような実務経験を積むか?」ということが決定的に大切になります。
具体的には、資産税(相続税関連)や国際税務など、
「稼げる分野で強みを持つ事務所」で経験を積んでいくことが大切です。
もちろん、顧客とのつながりを勤務税理士時代に作っておくことも大切ですね。
医業や芸能人など「お金をたくさん持っている業界の人たち」を顧問先として多く持つ事務所に所属して人間関係を作っておくこともメリットが大きいです。
(あなたが独立したときに顧問先になってくれたり、別の顧問先を紹介してくれたりします)
こういった「強みを持つ事務所」というのは、事務所そのものがもうかっていることが多いです。
なので、勤務税理士として高いお給料をもらえるのも魅力ですね。
独立のための資金を貯める意味でも、
↓こうした事務所に所属して経験を積むことはメリットが大きいでしょう。
\ 勤務税理士・年収700万円〜!/
どういう税理士になるのか?の具体的なイメージを持とう
ばくぜんと「税理士として独立」という夢やイメージをもっているところから一歩進んで、
- この業務についてなら、他の税理士には絶対に負けない税理士
- こういう業界のお客さんを顧問先として多く持つ税理士
↑こういった「具体的な理想像」を持っていまの勤務税理士(資格の有無にかかわらず)としての仕事に取り組んでみてください。
もし、いま所属している事務所でこういう理想像に近づく経験を積めそうにないなら、別の事務所に転職することも検討しなくてはいけません。
なんの特徴も強みもない個人事務所で
なんとなく働きながら5科目合格して、
なんとなく独立開業…
で食っていけるほど今の税理士業界は甘くありません。
税理士はやめたほうがいい?知っておくべき税理士業界の裏事情
以下では、これから税理士を目指す人が知っておくべき「税理士業界の裏事情」を紹介します。
業界に転職した後から「こんなはずでは…」と後悔することがないよう、知っておくべき注意点をまとめています。
参考にしてみてください。
1. 税理士事務所の職員は給料が安い?
会計事務所に未経験で入所した場合の平均年収は280~350万円という調査結果が出ています。
未経験であったとしても、事務所の規模が大きく、将来の活躍を期待されている従業員であれば、350〜400万円の場合もあります。
入所1~3年になると、顧問先を担当し、月次や年次の決算、申告書の作成などを行います。
これらの業務を1人で担当できるようになると年収は350万円を超えます。
入所4年以上になると、後輩の指導やチームリーダーとしての管理に関わることになります。
指導や業務管理ができると税理士資格がなくても年収500万円程度になります。
稼げる人はどういう働き方をしているか?
税理士資格がなくても稼げる人の働き方には2つの特徴があります。
1つ目は、管理職や指導者の立場として、後輩の育成・業務の管理を行うことです
2つ目は、営業スキルが高く、新規顧客を獲得することです。
新規の顧問先を獲得により、事務所の売上に大きく貢献できるため、必然的に年収が高くなります。
逆に、これらの働き方に該当しない場合、稼げない人となり、年収が上がることはありません。
私の場合は、勤務先の方針により前者の方で年収を上げようと考えています。
>>ブラックな税理士事務所で働きたくない人はこれを知っておくと良いです
2. 税理士資格の取得には時間がかかる
働きながら税理士を目指す場合、平均で3~5年の年月がかかります。
その理由は、試験科目を5科目合格が必須ですが、各科目の合格率は10~15%程度と低いため、1科目合格するためには1年以上かかるためです。
税理士資格取得のために仕事と勉強を両立している人に自由な時間はありません。
帰宅後、毎晩夜遅くまで試験勉強する必要があります。
私も税理士試験の合格に向けてこのような日々を送っています。
このように働きながら科目合格をコツコツ積み重ねていくためには、サポートしてもらえる事務所に入所することが重要になります。
科目免除できる大学院への入学も検討しよう
税理士試験では、指定の大学院を修了することで一部科目を免除できます。
また、未経験者で受験資格がない人も大学で勉強することで受験資格を得られます。
税理士試験に合格した人のうち、半数は科目免除を利用しており、大学院を修了してから税理士になることが主流になっています。
大学院に入学して勉強することで法律全般への理解が深まり、その他の税理士と差別化を図ることができます。
科目免除というメリットもありますが、将来の独立という視点でも考えた時は大学院への入学も検討しましょう。
>>ブラックな税理士事務所で働きたくない人はこれを知っておくと良いです
3. 税理士業界は今、きびしい変化にさらされている
会計ソフトが台頭してきているため、税理士の実情は厳しく、申告書作成の代行しかできない税理士は淘汰されます。
淘汰されない稼げる税理士になるためには、何が必要なのでしょうか。
それは、法人や個人の顧問先との対話能力と他の士業との連携です。
前者は、しっかりとヒアリングし、知識と経験から経営について提案します。
後者は、中小企業に対してワンストップ対応できるよう、様々な異業種交流会に参加し、たくさんの人脈を形成することが必須です。
独立開業して稼げる税理士になるため、
これらを学べる税理士事務所を探すことは非常に重要です。
(追伸)給料安くて超激務な「ブラック事務所」で絶対に働きたくない方へ
- 税理士事務所ってどこも給料安すぎ?
- 未経験で科目合格なしだと搾取の対象って本当?
- 将来は税理士として独立目指す。でも今の年収はさすがにキツい…。
- 仕事が忙しすぎて税理士試験全滅…とか絶対避けたい。
- パワハラな所長税理士の下で丁稚奉公みたいに働きたくない…。
↑こんな感じの「税理士業界の暗いウワサ」をネットでみて、不満や不安を抱えている方はきっと多いと思います。
残念ながら、その不安が的中してしまうケースは少なくありません。
職員スタッフを「使い捨て部品」みたいに搾取しまくるブラック事務所は、2024年現在も存在しているのが現実です。
はっきり言って、
「令和の世の中で、いまだにこんなことやってるの?」
みたいな真っ黒なブラック事務所ってたくさん存在しています。
良くも悪くも歴史のある業界ですからね…。
もちろん「税理士事務所のすべてがブラック事務所」というわけではありませんよ。
ですが、現実的なところで言えば、
- 全体の2割:完全ブラック
- 全体の6割:ややブラック
- 残りの2割:ホワイト
みたいな割合がリアルな実態でしょう。
(↓こんな感じ。雑な円グラフですみません)
↑労働環境が良好な「ホワイト事務所」で働けるのは全体の2割だけ。
税理士業界で働くほとんどの人は、ブラックな環境で苦しんでいる…というのが実際のところなんですね。
なぜ、税理士事務所はブラックばかりになってしまうのか?
理由はシンプル。
税理士事務所ってどこもとても小さな組織で、経営者である所長税理士が圧倒的に強い権限を持っているからです。
税理士事務所って、そのほとんどが「所長税理士合わせてスタッフ3名〜5名」みたいな、規模の小さな組織です。
(ごく一部の大手事務所を除くと、ほとんどがそんな感じ)
大企業の場合、ブラックなことやってたら新聞やテレビマスコミから批判されますよね。
でも、ほとんどの税理士事務所みたいに小さな組織が、マスコミに注目されることはほとんどないです。
また、基本的に「所長税理士=事務所オーナー」なので、多少ブラックなことやってても、誰からも批判されません。
(一般企業のように、株主と経営者が分離していない)
労働組合みたいな「労働者の権利を守る組織」みたいなものも存在しませんからね…。
さらにいえば、ネット上に「実際に事務所で働いた人たちの正直な口コミ」とかもめったに出てこないのもやっかいです。
税理士って所長税理士(事務所の経営者)どうし横のつながりが強いので、自分の事務所のスタッフ情報とか共有し合ってます。
自分の事務所の悪口をネットに書き込んだりすると、身バレしていづらくなる…。みたいなことすらありえますから、みんな下手なことはいえないんですよね。
みんな自分のキャリアを危険に冒してまで、ネットやSNSに口コミなんて書かないです。
ここまでのまとめ…
まとめると、税理士事務所の8割はブラック事務所なのが実態。
↓その理由としては以下。
- 税理士事務所のほとんどは「小さな組織」で、メディアに注目されることがほとんどない。
- 経営者(所長税理士)が経営責任を問われない。
- 労働者の権利を守る労働組合がない。
- 所長税理士がどうしが情報共有しているので、ネット上に下手な口コミ情報を書けない。
ただでさえブラックの割合が多い上に、
ネット上にブラック事務所を見分けるための情報が少ないせいで、
まちがえてブラックな事務所に応募してしまう人が続出するんです。
しかも、完全ブラックな事務所ほど人を集めるのに必死ですから、
「うちはアットホームで家族的な雰囲気です!…」
みたいに求人サイトでアピールしたりするので、たちが悪いんですよね…。
ブラック事務所の求人を「最初から選択肢に入れない」ことが重要
ここまでで、税理士業界のリアルな実態についてご理解いただけたかと思います。
ここからは「それじゃどうしたらいいのか?」について解説していきましょう。
↓いま、こんなふうに感じている方はきっと多いでしょう。
そうはいっても、税理士を目指すことはもう決めている。
将来的には資格をとって自分の事務所を持って独立したい。
まずはどこかの事務所に入社して働きながら、税理士試験合格を目指さないといけない。
そうなると、ブラック事務所でがまんすることは避けられないのか…?
大丈夫です。
私のブログを読んでくださっている方には、解決策をちゃんとお教えしますので。
で、どうすればいいか?
結論から言うと、ブラック事務所の求人を、最初から転職活動での選択肢に入れないようにすればいいんです。
具体的には、税理士事務所専門の転職サイト(無料)で求人を探すようにしてください。
税理士業界ってかなり特殊な業界で、ホワイト事務所の求人情報が「この業界専門の転職サイト」にしか載っていないんです。
(リクナビとかindeedとかで求人探しても良い求人がぜんぜんみつからない)
学生時代の就活の延長で、「求人探すなら、なんとなくまあリクナビかな…」みたいな感じで税理士事務所の求人を探してしまうと、
高い確率でブラック事務所の求人しか出てきません。
すでに税理士を目指すことが決まっている人は、必ず「税理士業界専門の求人サイト」で求人を探すようにしてください。
ホワイト事務所の求人が「税理士業界専門の求人サイト」に集まる理由
税理士業界専門のサイトでは、事務所側が求人を掲載するときに、
「この事務所は、最低限の年収や福利厚生条件を満たしているか?」が厳しくチェックしています。
そうしないと「求人数」で勝負してくる大手リクナビに勝てないからです。
つまり、事務所側が簡単に求人を掲載できない仕組みになっているんですね。
このあたりが無料で求人掲載できるハロワとか、
格安広告費で掲載できるリクナビとの違いです。
「うちは求人数ではリクナビには勝てませんけど、
求人の『質』ではリクナビなんかより圧倒的に良いものがありますよ」
↑みたいな感じで、求人の質で勝負しているわけですね。
必然的に、ブラック事務所の求人はあらかじめ排除されているのです。
すでに「税理士業界で働く」「将来は税理士として独立を目指す」とはっきり決めている人は、
リクナビなどの一般向けサイトではなく、税理士業界専門のサイトを使うのが鉄則ですよ。
税理士業界志望者が使うべき転職サイトはこの2つ
ヒュープロ(税理士業界専門の無料転職サイト)
ホワイト事務所の求人が見つかる!
ヒュープロは、税理士業界専門の無料転職サイトです。
未経験資格なしOKで年収400万円の求人
経験3年以上で年収660万円〜の求人
BIG4含む大手税理士法人の求人
税理士試験と両立できる残業なし求人
など、ホワイト求人が多数ありますよ。
>>10,097件の求人を見る
マイナビ税理士(科目合格1科目以上ある人におすすめ)
有名大手事務所の求人が豊富!
マイナビ税理士は、BIG4税理士法人をはじめとする有名事務所の求人を狙う人におすすめの無料転職サイトです。
KPMGやEYなど外資系大手の求人や、
辻本郷や山田&パートナーズなどの国内大手事務所の求人が多数ありますよ。
未経験者は科目合格が必須になりますが、税理士業界でハイクラスを目指す人にはおすすめの転職サイトです。
>>1,500件の求人を見てみる
↑これら2つはどっちも完全無料で使えるサイトです。
(企業側は支払う広告料で運営されているサイトなので、私たち求職者側がお金を取られるようなことはありません)
税理士業界で転職活動していくなら、この2つを使い倒していけば優良ホワイト事務所の求人を逃すことはほぼないと思いますよ。
私も転職活動していた頃は、この2サイトを毎日チェックしてました。
↓実務経験者向けの求人ではこんな感じ。
BIG4含む大手事務所〜資産税特化型の事務所まで求人豊富です。
税理士業界専門の中では最大手クラスなので信頼性が高いサイトです。
無料アカウント登録が必要ですが、完全匿名で使えるサイトなので安心ですよ。
>>マイナビ税理士でBIG4を含む大手税理士事務所の求人を見てみる
税理士業界志望者はリク●ビやハロワ、indeedは使わない方が良い
私は、税理士業界で転職するなら、
リクナビやハロワ、indeedなど、
「一般向け求人サイト」は使わない方が良いと思ってます。
なぜかというと、登録されている求人の質があまりにも低すぎるからなんですね。
実際、私が1社目に入社した事務所は完全にブラック事務所だったんですが、
この事務所はハローワーク経由で応募しました。
(窓口の職員さんに「こちらは特におすすめですよ」と紹介されました…)
私も後から知ったんですが、ハローワークの相談員って、
彼ら自身が非正規職員だったりするんです。
はっきりいってけっこういい加減なんですよね…。
税理士業界への転職を検討している方は、
厳選された求人だけが掲載されている税理士業界専門サイトを使いましょう。
リクナビやindeedと同じように完全無料で使えるサイトなので、こちらを使わない理由はないです。
↓例えば以下のような好条件な税理士事務所の求人を見つけることができますよ。
- 未経験・資格なしでも年収400万円スタートの求人
- 実務経験3年以上なら年収600万円スタートの求人
- 税理士試験と両立できるワークライフバランス重視の求人
- 在宅リモート勤務OKな税理士事務所求人
- 税理士事務所から経理の転職歓迎の求人
- 相続税申告の実務経験を積むことができる事務所求人
- 将来的に独立を目指すのもOKな事務所求人
なぜ「最大手のリ●ナビ」をおすすめしないのか?
転職サイトっていろんなところがありますよね。
リク●ビとかindeedの方が「学生時代の就活とかでも使ってなじみがあるし、Googleで検索したときに上の方に出てくるから安心」と思われる方も多いかもしれません。
ただ、個人的にはこういう転職サイトの選び方はおすすめしません。
リクナビとかindeedって、企業側が求人掲載をする料金が以上に安い上に、
ろくな審査もないのでブラックな事務所でも求人出し放題なんですよね…。
あと、税理士業界って採用側も応募側も、ニーズがかなり特殊です。
採用側(事務所側)は繁忙期と閑散期で採用の難易度をガラッと変えてきたりしますし、
応募側(私たち)も税理士受験生なので仕事と勉強の両立がマストだったり、
社会人から勉強スタートの人が多く、キャリアスタートの年齢が高めだったりと、
一般的な転職活動とは事情がかなり異なるケースが多いんです。
特に未経験者の方は、年収が極端に低い事務所(年収200万円代など)に応募しないように注意しないといけません。
実務経験者はともかく、業界的な年収相場をよく知らない未経験者を狙って、
「うちは勉強しながら働けますよ!(なので年収は低くても我慢してね!)」
みたいな感じで、極端に低い年収で募集をかけているブラックな事務所は本当に多いんです。
↓以下のいずれかに該当する人は、
税理士業界専門の転職サイトを使って求人を探すようにしましょう。
- 税理士試験との両立ができる事務所で働きたい人
- 毎年「1年に1科目」などのかたちで、着実に科目合格を積み重ねていきたい人
- 業界相場より低年収の事務所にまちがえて応募する愚を避けたい人
- 将来の独立を見すえて開業資金をちゃんと貯金していきたい人
- 税理士試験に失敗した場合に備えて、企業経理への転職という選択肢も検討している人
>>税理士業界専門の転職サイトで求人検索してみる
(メールアドレスの無料登録が必要です)
忙しくて今すぐは転職活動できない…という人へ
「転職したいけど、今すぐは転職活動は始められない。
ひょっとしたら今の勤務先に残るのがベストかもしれないし…。」
↑今の環境にいろいろ不満はあるけれど、
なんとなく不安で動けなくなっちゃってる方も多いでしょう。
転職活動なんて人生でそう何回もやることじゃないですし、
そのわりに人生に与える影響がデカくて不安になっちゃいますよね。
私自身もブラックで働いている時に経験したことなんですが、
今いる職場でストレスがマックスまで溜まると、
まじで何も行動する気がなくなるんですね。
転職って年齢的に若ければ若いほど有利なのが現実ですし、
精神的な疲労が溜まってくると人間って正常な判断が効かなくなってきます。
どんなに時間がなくて忙しい人も、
受動的に(受け身で)入ってくる状態にしておくことが大切です。
希望年収や勤務地などを転職サイト内で入力しておくと、
マッチする最新のおすすめ求人がメールが定期的に入ってきます。
↓ある日の私のメールボックスをお見せすると以下の画像のような感じ。
あらかじめ自分で入力した年収などの条件にマッチする求人が出たら、
最速でメール通知してくれるので見逃しがなくなります。
↑良さげな求人が見つかったらブックマーク保存しておきましょう。
これやっとくだけで、「どうしてもつらくなったら転職もある」という選択肢を持つことができます。
過労やストレスでぶっ倒れる前に行動を起こすことができますよ。
転職サイトは完全無料で情報リサーチに使えて、いつでも即解除できます。
変な電話連絡が来るようなこともないです。
無料で使えるものは徹底的に使い倒しましょう。
よくある質問と回答(Q&A)
転職サイトに関して、
あるあるな疑問とそれに対しての回答を載せておきます。
転職サイトは本当に無料?なぜ無料?
転職サイトは、企業や事務所が払う紹介手数料(広告料)で運営されています。
お金払ってるのは企業側だけなので、
私たち求職者側は最初から最後まで完全無料で使うことができますよ。
後からお金を請求されるとかはいっさいないので、安心して求人リサーチに使い倒しましょう。
転職サイトに登録したら電話セールスとかうるさくない?
転職サイトの登録は基本的にメールアドレスだけでできるので、
電話はかかってこないですね(相手はこちらの電話番号を知らない状態)
定期的に「こういう求人出てきましたけどどうですか?」みたいな連絡はくれますが、基本的にはメールオンリーです。
未経験資格なしでも応募できる事務所ってあるの?
これは実際に求人検索してみるのが早いかもしれませんが、
税理士事務所って未経験OK求人が意外に多いです。
ただ、リクナビとかハロワで探すと年収200万円台…みたいな、
完全ブラックな事務所もわんさか出てきたりするので、くれぐれも注意してください。
未経験無資格でも年収400万円以上の求人ぐらいなら、普通にたくさんありますよ。
複数の転職サイトを同時に使っても問題ない?
これはまったく問題ないです。
むしろ、たくさん使った方がいろんな求人に出会えるチャンスがひろがるので、2社〜3社ぐらいを使い回す方が良いでしょう。
転職サイトには無料のエージェントサービスがつくことが多いですが、
担当してくれるエージェントとの面談に進んだような場合には、
他社のエージェントからも話は聞いてますぐらいに教えてあげると親切かもしれませんね。
(求人リサーチのために転職サイトを使いたい用途の場合には、そもそもエージェントとのやり取りは発生しません)
最後の最後にお伝えしたいこと
↓仕事や転職で成功するために大事なのって、結局はこれです。
転職活動でもっとも重要なのは、能力やスキルより情報収集です。
具体的には、どの転職サイトを使うか?(リクナビなどの「一般向け」を使うか?税理士業界専門か?)で大きな差がつきます。
税理士業界は、能力的にとても優秀なのに、
転職活動のやり方がまずかったのが原因で、
ブラック事務所で働くことを余儀なくされている人…がものすごく多いです。
転職サイトへの登録なんて、実際には1分でできる作業です。
お金もかかりませんし、気に入らなければ即解除できるのでリスクなんて何もありません。
それでもやらない人はやらないですし、やる人はさくっととやります。
↓今から5年後に、あなたはどちらになっていたいでしょうか。
- 劣悪な雇用環境で給料も安く、税理士試験もいつまでたっても科目合格ゼロ…。貯金もゼロ…。
- 働きながらスピーディに5科目合格達成。年収高めなので独立資金のめどもある程度ついている。あとは税理士としての実務能力を高めていくだけ…!
↑この前者は実は過去の私の姿そのもので、
今思うと「もっと早く行動しておけばよかった」と後悔しています。
この記事を読んでくださったあなたは、もちろん後者を目指してください。
いまどんな状況にいる人でも、
成功に向かって一歩踏み出すことは可能です。