平成26年の税理士法改正によって、「所属税理士」という身分が新設されています。
それに合わせて「所属税理士の直接受任」が認められることになりました。
この記事では、所属税理士が直接受任を行う場合のルールや、具体的な運用方法について解説いたします。
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ブログ管理人
1985年生まれ。未経験ニートで会計事務所入社→月給16万円で地獄のような目にあう→何度か転職して年収600万円→会計事務所から経理に転職→現在は経理の管理職/2018年開始の当ブログも6年目突入!おかげさまで毎月1万人(累計34万人超)の方に読まれています。
この記事の目次
所属税理士とは?
所属税理士とは、ごく簡単にいえば「会計事務所で働く税理士有資格者」のことですね。
従来は補助税理士と呼ばれていた人たちのことです。
「税理士目指して会計事務所に転職して、仕事をしながら税理士試験に合格。実務経験をある程度積んだ時点で独立」というのは税理士の王道的なキャリアプランです。
この中で、「ボス税理士のもとでもうちょっと実務経験を積んだら、税理士資格もすでに持っているので独立するよ」という段階の人たちが所属税理士に該当するでしょう。
直接受任とは?
次に直接受任についてです。
従来のルールと何が変わったのかというと、「別の税理士の事務所に所属する税理士有資格者が、外部の人と直接的に顧問契約を結べるようになったよ」ということです。
従来は、たとえ税理士資格を持っている人であったとしても、外部と顧問契約を結べるのは所長税理士だけでした。
この点が改正されて、サラリーマンとして働く所属税理士であっても、外部の人と顧問契約を結べるようになったというわけです。
税理士資格を取得した人の多くが近い将来には独立を考えていると思います。
その前段階となる「プレ独立」のようなかたちで、自分自身の顧問先を獲得するきっかけとしての活用が見込まれます。
所属税理士の直接受任に関する契約ルール
所属税理士が直接受任を実際に受ける際の具体的なルールについて確認しておきましょう。
大前提として、税理士の事務所に所属する人は、
税理士有資格者となった後も、サラリーマンとして勤務しながら「自分の事務所を持つ」ということはできません。
一つの会計事務所に所属しながら、副業としてまた別の会計事務所に所属するということも、税理士法上認められていません。
一方で、直接受任のルールを使えば、
1つの会計事務所にサラリーマンとして所属しつつ、副業のような形で収入を得ることが可能になります。
サラリーマンとして働きながら独立に向けて自分の顧客開拓を行えることになりますから、独立の準備をしている方は活用すべき制度といえるでしょう。
ただし、その際には直接受任の契約を外部と行うたびに、自分の所属する会計事務所の所長税理士から許可を受けなくてはなりません。
所属税理士が従業員を雇うことはできない
所属税理士が、直接受任を行う場合に、自分の名義でアルバイトなどを雇用して仕事をさせることはできるでしょうか。
↓結論からいうと、これは認められていません。日税連のQ&Aにも明確に記載されています。
Q24.所属税理士が直接受任業務を行う場合、自らの使用人その他従業者(直接受任業務を補助する職員、青色専従者、アルバイト、パート等)を持つことができますか。
A24.所属税理士は、使用者税理士等の事務所に勤務する使用人で、そ
の本来業務は補助業務で、使用者税理士等の承諾を得て直接受任業務できるものであり、また、所属税理士が自らの事務所を設置することもできないことから、自らの使用人その他従業者を持つことはできません。
もし直接受任をした取引先の業務にあたって、人手が必要となった場合には、自分が所属する会計事務所の所長税理士にスタッフを雇用してもらい、その人に直接受任業務の仕事を担当してもらうといった運用をすることになるでしょう。
当然ながら、この場合には直接受任が自分のボス税理士にとっても利益になるものでなくてはなりません。
直接受任によって得た報酬の一部を所長税理士の取り分にするなどのかたちにすればお互いにWIN-WINの形になるかもしれませんね。
税理士の独立にあたって、「客をとった、とられた」のトラブルは本当によくあることです。
独立開業の大切な時期位に不毛な争いをすることにならないよう、所属税理士として直接受任を実際にやるためにはボス税理士との良好な関係を維持することは必須です。
直接受任した法人企業の経営者に、経営者自身の所得税申告を依頼されたら?
多くのケースで顧問先の法人企業の法人税申告業務と、その顧問先企業の経営者の所得税申告はセットになるでしょう。
後者の所得税申告についても、通常の直接受任と同様にボス税理士からの許可が必要になります。
この点は上記Q&Aの「Q7.」に明確に説明が書かれていますので、参考にしてみてください。
直接受任で受け取った収入の所得区分は?開業届は必要?
所属税理士が直接受任によって収入を得た場合、その所得は事業所得(または雑所得)に区分されます。
事業所得として所得税申告をするのであれば当然ながら開業届をあらかじめ出しておくことが前提となるでしょう。
ただし、形式的には直接受任の形で契約を受けたとしても、
その顧問収入がボス税理士を経由して支給されるような場合には、
単純に勤務している会計事務所からの給与所得して処理すれば問題ないでしょう。
所属税理士の直接受任は「独立への第一歩」となるか?
税理士として独立を検討している人がもっとも心配していることが
「果たして自分の営業力で顧問先を開拓していくことができるか?」だと思います。
新規開拓の営業といった仕事について、「自信がある」と胸を張って言える方は基本的に少ないのではないでしょうか。
小規模事業者向けの会計ソフトも優秀になってきていますし、全国規模で格安の記帳代行サービスを展開する大手事務所も増えてきました。
今後は経理代行的なサービスはこうした業者にパイが奪われていくでしょうから、
税理士としての独立のハードルが高くなっていくことは間違いありません。
直接受任によって税理士の働き方の選択肢は広がる
そうした中で、直接受任の制度ができたことは、税理士の働き方に新しい方向性を開くものと言えます。
具体的には、別の税理士の事務所や一般企業の経理財務担当者として安定的に給与を受け取りながら、
副業的に関係性のある人から直接受任を受けるということがやりやすくなったからです。
実際、クラウドソーシングサイトなどを除くと、確定申告時期に「税理士さんの副業でもいいので、確定申告だけやってほしい」という依頼はたくさん掲載されていますね。
こうした依頼をきっかけとして自分の名義で顧客開拓をしていく所属税理士は今後増えていくでしょう。
「会計事務所で修行して、働きながら試験に合格したら独立」というこれまでの王道的キャリアを硬直的に選択するのではなく、もっと柔軟にキャリアを考えることが可能になっていくと思われます。
近年、所属税理士として働く人の給与水準は上昇傾向にあります。
現在所属している事務所での働き方に不満を感じている方は、ぜひ視野を広く持ってご自身のキャリアについて考えてみてください。
(追伸)給料安くて超激務な「ブラック事務所」で絶対に働きたくない人へ
- 税理士事務所ってどこも給料安すぎる…。
- 実務未経験で科目合格もなしだと搾取の対象って本当?
- 将来は税理士として独立目指すけど、今の年収はさすがにキツい…。
- 仕事が忙しすぎて税理士試験全滅…とか絶対避けたい。
- パワハラな所長税理士の下で丁稚奉公みたいに働きたくない…。
↑こんなふうに不満や不安を抱えている方、税理士志望者にはきっと多いと思います。
残念ながら、その不安が的中してしまうケースは少なくありません。
職員を「使い捨て部品」ぐらいにしか考えず、
安月給で搾取しまくるブラック事務所は2024年現在も普通に存在しています。
はっきり言って「令和のこの世の中で、いまだにこんなことやってるのか?」
みたいなブラックな事務所がたくさん存在しているのが現実です。
もちろん「税理士事務所のすべてがブラック」というわけではありませんが、
全体の2割は完全ブラック、
全体の6割はややブラック、
残りの2割だけがホワイト…
みたいな割合がリアルな実態でしょう。
(↓こんな感じ)
↑労働環境が良好な「ホワイト事務所」で働けているのは全体の2割の人だけ。
残りの8割の事務所職員は、ブラックな環境で苦しんでいる…というのが実際のところなんですね。
なぜ、こうなってしまうのか?ですが、理由は単純です。
税理士事務所ってどこもめちゃくちゃ小さな組織で、
しかも所長税理士のワンマン経営なので、
外からの批判にさらされることがないからです。
税理士事務所って、そのほとんどが「所長税理士合わせてスタッフ5名」みたいな感じの小さな組織です。
大企業の場合、ブラックなことやってたら新聞やテレビマスコミから批判されますよね。
でも、税理士事務所みたいに小さな組織が、
メディアに注目されることなんてほとんどないです。
一般企業のように株主と経営者が分離しているなんてこともありません。
基本的に「所長税理士=事務所のオーナー」なので、
ブラックなことやってても、誰からも批判されませんし、
労働組合みたいな「労働者の権利を守る組織」みたいなものもありません。
さらにいえば、ネット上でも「実際に事務所で働いた人たちの正直な口コミ」がめったに出てこないんです。
ただでさえ狭い業界な上に、所長税理士どうしの横のつながりが強いので、
自分の事務所の悪口をネットに書き込んだりすると、
すぐに気づかれてしまってヘタをすると業界にいづらくなる…。みたいなことすらあります。
みんな自分のキャリアを危険に冒してまで、ネットやSNSに口コミなんて書かないんですね。
こんなふうに、ブラック事務所を見分けるための情報が非常に少ないせいで、
まちがえてブラックな事務所に応募してしまう人が続出するんです。
しかも、完全ブラックな事務所ほど人を集めるのに必死ですから、
「うちはアットホームで家族的な雰囲気です!…」
みたいに求人サイトでアピールしたりするので、たちが悪いんですよね…。
ブラック事務所の求人を「最初から選択肢に入れない」ことが重要
これは税理士業界に限らずですが、
すでに志望業界が決まっている人は「業界専門の求人サイト」で求人を探すのが転職成功のコツです。
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「うちは求人数ではリクナビには勝てませんけど、
求人の『質』ではリクナビなんかより圧倒的に良いものがありますよ」
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税理士業界志望者はリク●ビやハロワ、indeedは使わない方が良い
私は、税理士業界で転職するなら、
リクナビやハロワ、indeedなど、
「一般向け求人サイト」は使わない方が良いと思ってます。
なぜかというと、登録されている求人の質があまりにも低すぎるからなんですね。
実際、私が1社目に入社した事務所は完全にブラック事務所だったんですが、
この事務所はハローワーク経由で応募しました。
(窓口の職員さんに「こちらは特におすすめですよ」と紹介されました…)
私も後から知ったんですが、ハローワークの相談員って、
彼ら自身が非正規職員だったりするんです。
はっきりいってけっこういい加減なんですよね…。
税理士業界への転職を検討している方は、
厳選された求人だけが掲載されている専門サイトを使いましょう。
リクナビやindeedと同じように完全無料で使えるサイトなので、こちらを使わない理由はないです。
(みんな知名度だけでリクナビを選び、失敗します)
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なぜ「最大手のリ●ナビ」をおすすめしないのか?
転職サイトっていろんなところがありますよね。
リク●ビとかindeedの方が「学生時代の就活とかでも使ってなじみがあるし、Googleで検索したときに上の方に出てくるから安心」と思われる方も多いかもしれません。
ただ、個人的にはこういう転職サイトの選び方はおすすめしません。
リクナビとかindeedって、企業側が求人掲載をする料金が以上に安い上に、
ろくな審査もないのでブラックな事務所でも求人出し放題なんですよね…。
あと、税理士業界って採用側も応募側も、ニーズがかなり特殊です。
採用側(事務所側)は繁忙期と閑散期で採用の難易度をガラッと変えてきたりしますし、
応募側(私たち)も税理士受験生なので仕事と勉強の両立がマストだったり、
社会人から勉強スタートの人が多く、キャリアスタートの年齢が高めだったりと、
一般的な転職活動とは事情がかなり異なるケースが多いんです。
特に未経験者の方は、年収が極端に低い事務所(年収200万円代など)に応募しないように注意しないといけません。
実務経験者はともかく、業界的な年収相場をよく知らない未経験者を狙って、
「うちは勉強しながら働けますよ!(なので年収は低くても我慢してね!)」
みたいな感じで、極端に低い年収で募集をかけているブラックな事務所は本当に多いんです。
↓以下のいずれかに該当する人は、
税理士業界専門の転職サイトを使って求人を探すようにしましょう。
- 税理士試験との両立ができる事務所で働きたい人
- 毎年「1年に1科目」などのかたちで、着実に科目合格を積み重ねていきたい人
- 業界相場より低年収の事務所にまちがえて応募する愚を避けたい人
- 将来の独立を見すえて開業資金をちゃんと貯金していきたい人
- 税理士試験に失敗した場合に備えて、企業経理への転職という選択肢も検討している人
>>税理士業界専門の転職サイトで求人検索してみる
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忙しくて今すぐは転職活動できない…という人へ
「転職したいけど、今すぐは転職活動は始められない。
ひょっとしたら今の勤務先に残るのがベストかもしれないし…。」
↑今の環境にいろいろ不満はあるけれど、
なんとなく不安で動けなくなっちゃってる方も多いでしょう。
転職活動なんて人生でそう何回もやることじゃないですし、
そのわりに人生に与える影響がデカくて不安になっちゃいますよね。
私自身もブラックで働いている時に経験したことなんですが、
今いる職場でストレスがマックスまで溜まると、
まじで何も行動する気がなくなるんですね。
転職って年齢的に若ければ若いほど有利なのが現実ですし、
精神的な疲労が溜まってくると人間って正常な判断が効かなくなってきます。
どんなに時間がなくて忙しい人も、
受動的に(受け身で)入ってくる状態にしておくことが大切です。
希望年収や勤務地などを転職サイト内で入力しておくと、
マッチする最新のおすすめ求人がメールが定期的に入ってきます。
↓ある日の私のメールボックスをお見せすると以下の画像のような感じ。
あらかじめ自分で入力した年収などの条件にマッチする求人が出たら、
最速でメール通知してくれるので見逃しがなくなります。
↑良さげな求人が見つかったらブックマーク保存しておきましょう。
これやっとくだけで、「どうしてもつらくなったら転職もある」という選択肢を持つことができます。
過労やストレスでぶっ倒れる前に行動を起こすことができますよ。
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変な電話連絡が来るようなこともないです。
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よくある質問と回答(Q&A)
転職サイトに関して、
あるあるな疑問とそれに対しての回答を載せておきます。
転職サイトは本当に無料?なぜ無料?
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これは実際に求人検索してみるのが早いかもしれませんが、
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ただ、リクナビとかハロワで探すと年収200万円台…みたいな、
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未経験無資格でも年収400万円以上の求人ぐらいなら、普通にたくさんありますよ。
複数の転職サイトを同時に使っても問題ない?
これはまったく問題ないです。
むしろ、たくさん使った方がいろんな求人に出会えるチャンスがひろがるので、2社〜3社ぐらいを使い回す方が良いでしょう。
転職サイトには無料のエージェントサービスがつくことが多いですが、
担当してくれるエージェントとの面談に進んだような場合には、
他社のエージェントからも話は聞いてますぐらいに教えてあげると親切かもしれませんね。
(求人リサーチのために転職サイトを使いたい用途の場合には、そもそもエージェントとのやり取りは発生しません)
最後の最後にお伝えしたいこと
↓仕事や転職で成功するために大事なのって、結局はこれです。
転職活動でもっとも重要なのは、能力やスキルより情報収集です。
具体的には、どの転職サイトを使うか?(リクナビなどの「一般向け」を使うか?税理士業界専門か?)で大きな差がつきます。
税理士業界は、能力的にとても優秀なのに、
転職活動のやり方がまずかったのが原因で、
ブラック事務所で働くことを余儀なくされている人…がものすごく多いです。
転職サイトへの登録なんて、実際には1分でできる作業です。
お金もかかりませんし、気に入らなければ即解除できるのでリスクなんて何もありません。
それでもやらない人はやらないですし、やる人はさくっととやります。
↓今から5年後に、あなたはどちらになっていたいでしょうか。
- 劣悪な雇用環境で給料も安く、税理士試験もいつまでたっても科目合格ゼロ…。貯金もゼロ…。
- 働きながらスピーディに5科目合格達成。年収高めなので独立資金のめどもある程度ついている。あとは税理士としての実務能力を高めていくだけ…!
↑この前者は実は過去の私の姿そのもので、
今思うと「もっと早く行動しておけばよかった」と後悔しています。
この記事を読んでくださったあなたは、もちろん後者を目指してください。
いまどんな状況にいる人でも、
成功に向かって一歩踏み出すことは可能です。