- 不動産業界の経理の仕事内容は?
- 一般的な経理職との違いは?
- 経理職に未経験で転職するにはどうしたらいいの?
不動産業界は「お給料が良い」というイメージもあり、昔から人気の業界ですね。
今回は、実際に不動産会社で経理事務として働いている女性に転職や仕事内容の体験談をお聞きしました。
経理職を目指して転職活動している方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
不動産経理はきつい?私が体験した仕事内容

(不動産経理はきつい?経験者の女性に転職やお仕事の体験談をお聞きしました)
体験談をお聞きした方のデータ
- 現在の年齢:31歳
- 在職年数 :26歳から現在までの約5年間
- 雇用契約 :正社員
- 年収 :年収330万円
- 会社の規模:従業員20名の小規模企業

経理のお仕事はどんな感じですか?
ただ、私の会社には営業ノルマはありませんので、
不動産業といってもいろいろですね。

私は、売買専門の不動産会社で経理事務として働いています。
従業員数は約20名で、年商7億円〜8億円ほどの小規模な会社です。
いっしょに働いている人たちは20代後半〜40代の人が多いですね。
営業マンの人たちと、私のように内勤で働く経理や総務の人がいます。
内勤の人たちはほとんど全員が女性です。
不動産会社はノルマが厳しく、社内がいつもピリピリした雰囲気の会社も多いですが、私の会社では営業にも個人ノルマがありません。
ほとんどの人がおだやかに働けているので、人間関係で嫌な思いをすることはあまりありませんね。
和気あいあいとした雰囲気で、10年〜20年と長く勤めている人が多い職場です。
「不動産会社」には大きく分けて3種類がある


↓「不動産会社」には大きく分けて以下の3種類があります。
「不動産会社」は3種類
- 仲介専門の不動産会社
お客さんが土地や建物を売ったり買ったりするのをお手伝いし、取引がまとまったら手数料をいただくことをビジネスにしている会社です。 - 売買専門の不動産会社
会社がお客さんから土地や建物を買い、より高い値段で売ることを仕事にしている会社です。 - 賃貸専門の不動産会社
会社が持っている土地や建物をお客さんに貸して、家賃をもらうことをビジネスにしている会社です。
私が働いているのは、このうち「1.仲介」と「2.売買」の両方を扱っている会社です。
土地や中古物件などを売りたいというお客様から物件を預かり、お客さんの代わりに買い手を探してきて売買を決めるのが仲介業ですね。
また、会社が自ら物件を仕入れて転売することも行っています。これが売買です。
会社が自分で物件を買って売るか、お客さんの売り買いをお手伝いするかの違いですね。
売買を扱っている不動産会社では、私の会社のように自社売買と仲介の両方を扱っている会社が多いと思います。
不動産経理の給料は高い?

(不動産経理の給料は高い?)

残業も少なくプライベートと両立できるので、
今のところ大きな不満はないですね。

現在の給料は、支給額が25万円で手取り額が20万円ほどです。
ボーナス含む年収で330万円ですが、在職5年目の事務職しては平均的なお給料ではないでしょうか。
同じ地域の他業種の経理事務の平均給料の支給額は20万円ほどですので、不動産業の経理事務の給料は高いと思います。
また、経理は事務職の中でも「専門職」の扱いになりますので、固定給が一般的な総務事務と比べても高いです。
なお、専門職とはいっても、私の会社のように小規模な会社であれば、簿記資格や実務経験がまだなくても応募できるところが多いですよ。
不動産経理に転職するには?

実務未経験の方は簿記と宅建の勉強をしておくと良いですね。

不動産経理の中途採用の求人募集には「実務経験〇年以上」など、即戦力として働ける人材を求めている会社がとても多いです。
ただ、私自身もそうですが未経験でも正社員採用されるケースは普通にあります。
すでに経理実務の経験がある人は、前職で経験した内容を具体的に説明すると良いと思います。
実務経験者とみなされるかどうかは、決算業務の経験があるかどうかで判断されることが多いでしょう。
未経験者が不動産経理に転職するには?
未経験で不動産経理の仕事に転職するには、簿記と宅建の資格を取ることで転職しやすくなります。
業務では不動産用語や宅建業法に関わる業務が多いため、未経験でも宅建の資格を持っているだけでアピールになります。
簿記で習う専門用語も業務で常に使用しますので、不動産経理への転職は資格取得が一番の近道です。
簿記2級以上や宅建を持っているのが理想ですが、必ずも合格済みでなくても可能性はあると思います。
まだ勉強中の場合には、履歴書や面接の自己アピールで、
「〇月取得を目指して勉強中です」と伝えれば問題ありません。
不動産経理として長く働いていきたいという意思も伝わるので高評価につながります。
また、面接や履歴書で「未経験だからこその強み」をアピールすることも大切です。
私も未経験で今の会社に転職しましたが、「業務経験が無いからこそ、新しい知識の吸収が早く就職先の企業の特色に合わせられる」と強くアピールしました。
未経験という弱みを強みに変えられたことで採用につながったと思います。
不動産経理の求人はどこで見つかる?


↓不動産業界での求人の探し方には、大きく分けて以下の2種類があります。
不動産業界の求人の探し方
まだ転職するかどうかをはっきり決めていない人や、マイペースで転職活動したい人は転職サイトを使うのがいいと思います。
職務経歴や希望条件などを登録しておけば、条件にマッチした求人がメールで届きます。
一方で、最短で希望条件にあった求人を紹介してもらいたい人はエージェントを使うのがいいでしょう。
エージェントを使っても内定が出るまでは3ヶ月程度はかかります。
エージェントが独自で持っている非公開求人などにも応募できますので、より良い条件で採用を決めたい人はエージェントを使いましょう。
経理職専門の転職エージェントを使うのがおすすめ

(MSジャパンは経理職に転職したい方におすすめの転職エージェントです)
転職エージェントにはいろんな会社があります。
経理職として働くことをすでに決めている人は、会計職専門の転職エージェントを使うのが良いでしょう。
こうした会社は経理や財務などの管理部門の仕事だけを専門で扱っているので、一般的なエージェント会社よりも条件の良い求人がたくさんあります。
経理の実務経験がまだない人でも応募できる求人が多くありますから、活用してみてください。
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不動産経理の具体的な仕事内容

「不動産業ならではの業務」もいくつかあります。

経理の仕事は、会社がお金を払ったり、受け取ったりするたびに帳簿(会計ソフト)にその内容を記録することです。
その記録内容に基づいて、1年に1回決算書を作成して、税金の金額を計算するまでが私たちの仕事の1サイクルです。
↓不動産業の経理職ということで、やや特殊なのは以下のような業務内容ですね。
不動産経理ならではの仕事内容
- 所有物件の収支管理
- 仲介手数料収入の入金管理
- 物件売買の決済時に必要な書類の作成
- 借入金の管理
- 銀行提出資料の作成
不動産業は銀行から仕入物件ごとに借入をすることが多いので、銀行に提出する資料の作成が多いです。
物件の販売状況や粗利予定金額、他行の借入状況など正確な数値を銀行に報告しなければならないため、とても神経を使う業務の一つです。
また、不動産業では単価が大きく億単位の金額を扱うことも多いです。
物件の仕入や販売時に仕訳が複雑になることもあり、いつも以上に気を使います。
ただ、一つの仕事をやり切ったときの達成感は他の経理業務よりも大きいと感じています。
不動産経理として評価される仕事進め方とは?

どういう働き方をしたらいいと思いますか?
1つ1つの仕事をミスなくきっちりこなしていくことが大切です。

不動産経理に限らず、経理という仕事は「自分がこれだけがんばったから会社がこれだけもうかった」というようには成果が見えない仕事です。
なので、経理として社内で評価されるようになるには、任されている1つ1つの仕事をきっちりとこなしていくほかありません。
経理は会社の数字を扱うので、何よりも正確性が大切な仕事です。
逆に言えば、数字に大きな間違いがあることを指摘されたりすると、評価が下がってしまう可能性が高いでしょう。
もちろん、社内では複数人でチェック体制を作っていることがほとんどでしょうから、同僚たちと協力しながら仕事をしていくことになります。
会社が扱っている物件のデータをしっかりと把握しておくのが大切
不動産経理ならではの事情としては、会社で扱っている土地や建物の物件データについて、営業さんや社長に質問されることが多いことがあります。
営業さんは物件情報を数字でお客さんに説明したいと考えているので、データをしっかりと把握し、管理しておくことで貢献できます。
具体的には所有物件や委任物件などの管理の委託先や借入先、現在の粗利額などの数値や状況などをしっかりと把握しておくことです。
しっかり管理ができていれば資金の動きを先読みし、今後の資金状況を前もって計画を立てておくこともできます。
不動産業は1件あたりの単価が高くもうかるイメージが強いですが、
こうした「数字のデータ」をしっかり管理できていないと利益を出すことはできません。
このあたりは経理が力を発揮できる部分ですね。
不動産の経理は専門用語も多く、宅建業法に関わる業務も多いため、経験を積んでおくと、経理として他社への転職を考えるときにも有利になると思いますよ。
不動産経理のキャリアアップについて


私の会社は、昇給の時期や基準がはっきりと決められていないため、昇給するのが難しいです。
管理職になった場合は年収が50万円~100万円ほどアップしますが、私の会社のように、経理に管理職を設けていないところもあります。
また、賞与(ボーナス)の金額が不安定なところはやや不満ですね。
私の会社では、賞与の支給額を決める明確な基準が今のところありません。
なので、その年の会社の業績によっては、去年に比べて1割~2割程度ボーナス額が下がることもあるんです。
小規模な企業というのは売上も安定していないため、こういうところは多いと思いますね。
一方で、大規模企業(従業員数が100名以上・売上が50憶~100憶など)だと、
賞与額も安定していて、欠勤や遅刻などがよほど多くなければ下がることは少ないです。
賞与額の増減は年収に大きく関わるので、売上が安定している企業を選ぶことも大切かもしれませんね。
不動産経理の残業や休日出勤は?


私の会社の定時は朝9時~18時です。
残業は基本的にほぼありません。
ただし、業務が立て込む月末や決算の時期には1時間〜2時間程度の残業が発生する日があります。
この時期は物件の仕入や販売が立て込むことが多く、書類の準備や仕訳の入力が複雑なため時間がかかってしまい、残業をすることがあるのです。
また、不動産業は消費税の区分が非常に難しく複雑なため、間違った数値を入力してしまうと納める税金の額が大きく違ってしまいます。
物件の仕訳入力作業とチェック作業は慎重に行うため、1時間~2時間ほど残業する日もありますが、残業する場合15分単位で割増賃金が支払われます。
ですが経理はほとんどが毎月同じ仕事を繰り返すことが多くイレギュラーな対応がないので、休日出勤はありません。
業務の計画をしっかり立てて決められた期日までに終わらせる内容の仕事ばかりなので、業務が立て込む時期以外は残業も休日出勤も自分次第だと思います。
経理職としてキャリアアップを狙うには?

管理職を狙える大手企業への転職が必要だと思います。

経理職として長く働き、キャリアアップもしていきたい場合は、
管理職になれる大手企業へのステップアップが必要だと思います。
昇給や昇格の基準がしっかり決められている規模の大きな企業は、生涯年収がアップする可能性があります。
ただし、規模が大きい企業だと従業員数や事業内容も多いため、業務が立て込み毎日残業の会社もあります。
一方で、私が働いているような小規模企業では、残業をしなければならないほど業務が立て込むことがありません。
経理としてプライベートを充実させながら、まったりと働きたい人は小規模企業、
バリバリ働いて年収もどんどん上げていきたい人は大手企業の経理を目指すのが良いと思いますよ。
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不動産経理のやりがい


私の業務では、会社の資金を把握するために1週間単位でのお金の流れがわかる表を作成し毎週金曜日に金額の誤差がないかチェックします。
金額にずれが出ないよう支払や入金などをしっかり把握しておく必要がありますが、
誤差がなく数字がぴったり合ったときはとてもやりがいを感じます。
経理の仕事だからこそ味わえるやりがいが多いので、地味に思われがちな仕事ですがとても楽しいです。
不動産経理のつらいところ・よくある退職理由


経理として仕事がしんどくなるのは、やはり決算時期ですね。
決算時期前後は物件の動きも激しく、たくさんの仕事を同時にこなさなくてはならないので、かなり忙しくなります。
通常業務に加えて、1年間の見直しをしなければならないですし、それに附随する業務もあります。
通常の倍以上の仕事量なので、帰ったらぐったりということも多々ありますが、
終わらせたときの達成感はひとしおです。
経理は仕事の期日がきっかりと決まっているので、効率良く仕事をこなす習慣がつき、スキルアップにもつながります。
また、不動産業では物件の契約書類など通常の経理と比べ、管理する書類の量がとても多いです。
書類の整理を頻繁に行わないといけないので、重い書類を倉庫へ移動するときは体力が必要ですし、暑い時期などはつらいこともあります。
経理は1日中座りっぱなしの仕事だと思われがちですが、力仕事もあるんですよ。
不動産経理でよくある退職理由
不動産経理での退職理由は、キャリアアップのため退職する人が多いです。
お給料が高くても経験が長く優秀な経理事務員が欲しいという会社も多いので、経験を積み転職することで給料が上がる場合もあります。
転職先の企業の売上が安定していて月給がアップしたり、規模が大きい大手の不動産会社は福利厚生や働く環境が充実した会社も多くあるため、退職する人もいます。
また、会社によっては営業のノルマが厳しく、社内で常に怒号が飛んでいるというところもあるようです。
今よりも条件や環境が良い会社に転職をする人が多い印象です。
不動産経理に向いている人・向いていない人


経理はほとんどの業務が「数字を見る仕事」です。
細かい数値を扱うことも多いので、数字が苦手な場合は業務自体が苦になってしまうかもしれません。
また、不動産業は専門的なことが多いため、新しい知識を身につけることが好きな人に向いています。
宅建業法や税法など不動産に係わる専門的な知識も身につき新しいことを知ることができるので、学ぶことが好きな人はとても楽しく感じる仕事だと思いますよ。