会計士が監査法人から事業会社の経理に転職して感じたメリットデメリット

監査法人から経理

(監査法人から事業会社の経理に転職したリアルは?)

「頑張って会計士の資格をとって、無事に監査法人に入社もできた。

年収はまわりの同年代よりだいぶ高めだし、恋人や家族からの評価も高い。

でも、思い描いていた『理想の人生』とはなんか違う…。

↑こんなふうにモヤモヤを感じながら、

監査法人で会計士やってる人は多いと思います。

私自身、学生時代に血を吐くような思いで勉強し、

なんとかBIG4勤務からキャリアスタートできたものの、ずっとモヤモヤを抱えていました。

海外勤務も含めて、監査法人勤務は15年ぐらいでしたが、

私が一番不満に感じていたのは、

結局監査法人勤務の会計士って、

他人の仕事のチェックばっかりやってる」ってことだったんですね。

転職経験者

クライアント(事業会社)に往査に行ってチェック、

事務所に戻ってきてまたチェック、

同僚の会計士の処理をダブルチェック…

どんなに一生懸命仕事をしても、しょせんはどこにいっても部外者。

クライアント企業の社長が語る熱いビジョンに共鳴しても、

しょせんは「外部のセンセイ」扱い…。

毎日こんな自問自答の繰り返しで、正直、これって俺じゃなくてもいいよね?(俺ってなんか機械みたいだよね?)みたいな気持ちになってました。

そんなモヤモヤしていた私の毎日を解決してくれたのが、事業会社経理への転職でした。

この記事では、事業会社経理として働く公認会計士の仕事のリアルをお教えします。

ぜひ参考にしてみてください。

50代前半の会計士。Big4でキャリアをスタートし、海外駐在も経験。監査のみならず、トランザクションサービスやコーポレートファイナンス業務等を15年程経験した後、7年前に事業会社の経理部次長のポジションで転職。現在経理の部長職です。年収は事業会社に転職してから、100万円程アップして1,500万円程。最近会計税務関連のブログ記事執筆もしております。

【この記事を書いた人】

 

監査法人から経理に転職してみて感じたメリット3つ

監査法人から経理

(監査法人から経理に転職してみて感じたメリット)

 

事業会社の経理や、経理の管理職として働くことに興味を持っている会計士もひょっとしたら多いかもしれません。

ただ、経理担当はいつも同じ場所で同じメンバーで仕事をしていて、退屈ではないのだろうか…とか、

人間関係が面倒くさそう…とかって思うことありますよね。

経理の人に足りない資料や分析データを宿題としてよく頼むけど、実際に作るのは大変だろうな…と思います。

もし、自分が事業会社の経理として数字や資料を作る側に回ったら、

1人で会計ソフトをうまく使えるかな?とか、システム対応はうまくできるかな?と、

不安に思う方も多いのではないでしょうか。

でも、

経理の仕事は実際に数字を作り上げなくてはいけないので、

チームとしての一体感が、監査のチームとは違うのです。

また、その時々でやらなくてはいけないことが決まっているので、

それを書類としてまとめあげること、作り上げることに、

監査にはないクリエイティビティがあります。

チェックするだけではなく、作り上げる力がついたな、と実感することもありました。

自分の成長を感じられることで、達成感が得られるでしょう。

 

1. 職場環境の安定により、精神的安定が得られた

事業会社の経理への転職により、精神的安定が得られました。

これは大きいです。

現在の監査業務の現場は、監査手続として実施しなくてはならない、

多数のペーパーワークがあります。

それを全てこなすのは、かなりのハードワークですよね。

それにもかかわらず、突如クライアントが監査人を変えてしまうという、

社内失業の憂き目に合うこともあります。

社内営業が得意な会計士は良いですが、苦手な会計士は、

特にやることもなく事務所内でぶらぶらしている…

そして、いつもの間にか事務所からいなくなる…

非常に気の毒な気がしますが、明日は我が身です。

その点、事業会社の場合は会社がつぶれない限り、

経理という仕事がなくなることはありません。

課長、次長、部長…という社内に確たるポジションがあり、

自分の居場所があることは、精神的に大きなメリットと言えます。

 

2. 監査では得られない仕事の達成感

監査業務の場合、基本的にクライアントが作ったものを基準書や手引書に即してチェックするのが仕事です。

間違い探しのような仕事ですね。

本質的に、あまり達成感というものを感じる業務ではありません。

それに対して、

事業会社の経理の仕事は、数字を作り書類を完成させる仕事です。

常に作り続ける必要はありますが、完成したときの達成感が得られるでしょう。

しかも、会計士の資格をもって移るわけですから、社内から頼りにされます。

監査業務のように、単純な作業の繰り返しということはありません。

常に会社の動きに応じて変化があり、会社の命運がかかるような案件に関しての

処理を検討したり、

それを役員や他部署に説明したりする、非常に重要な業務を担うことが多いのです。

そうした局面でプロとしてリスペクトされてるな…と感じることも多くありました。

短信や四半期報、有報等を作り上げたときには、やはり作り上げたという達成感があり、

それは監査法人の業務の現場では得難い経験です。

 

3. 社内で貴重な専門家としてリスペクトされることも多い

一般の事業会社で勤務する会計士が増えてきた今日でも、

やはり、会計士は社内では少し特別な存在であることには変わりありません。

監査法人であれば、周りは皆会計士ですが、

事業会社の経理部門に2人とか3人以上の会計士がいる、ということは稀なので、

オンリーワンの存在になる場合が今でも多いのです。

本当に優秀なトップクラスの企業でもない限り、

通常は、転職してきた会計士と事業会社の資格を持たない経理のメンバーとは、

知識の質および量において、やはり相当な差があることが多いでしょう。

社内の皆さんから多くの相談事や悩み事が持ち込まれ、色々と有益なアドバイスをしたり、

会社にとっての重要なプロジェクト等に関して、取締役会でプレゼンを行ったりすることも多くあります。

様々な案件を上手く片付けていくと、社内専門家として「頼りになるやつ」ということで、

役員や他部署からリスペクトされることも多いのです。

>>公認会計士専門の転職サイトで求人を見てみる(無料)

 

監査法人から経理に転職してみて感じたデメリット3つ

監査法人から経理

(監査法人から経理に転職してみて感じたデメリット)

1. 家と会社を往復するだけの生活が続いてしまう

事業会社に移ってから、行動範囲及び人間関係が極めて狭くなった気がします。

監査法人時代は出張も含めて、あちこちのクライアントに出掛けました。

一方、休暇については、

監査法人時代のように、時期を外して長い休暇を取るということができる雰囲気ではありません。

社内で「お休み中はどこか旅行に行ってきましたか?」といった内容で話に花が咲くことも無いです。

同僚は、特に旅行には行かずに実家でゆっくりしていた、という方が多いように思います。

もう少し、人生をエンジョイすることを考えたほうが良いのではないでしょうか。

 

2. コミュニケーションエラーが無いように注意が必要

監査法人にいたときは、いつも同じ顔ぶれの会計士の中で仕事をしていたので、

ある意味、何も言わなくても相通ずる、

阿吽(あうん)の呼吸で仕事ができてしまうことが多々ありました。

事業会社では、そういうわけにはいきませんよね。

上司にしても、同僚や部下にあたるスタッフにしても、

会計のバックボーンを特段持っているわけではないことが多いので、

「どうしてこのように処理したのですか。」と聞いても、

「前任者がしていたとおりに処理しました」という返事が返ってくることが多いです。

自分の頭で考えて欲しい、と思うことはありますが、

ある程度は仕方ないなと思います。

スタッフを育てることが自分の役割ということですね。

 

3. 会社独特の文化や規律には逆らえない

金融や「B to C」の事業会社の場合は、特に規律が厳しく、

独特の文化があることが多いのではないでしょうか。

お客様へのサービスやお客様とのトラブルがないように、そうならざるをえないということですよね。

監査法人時代は、クライアントからの独立性を保つためというのはありましたが、

普段の勤務の態度において、箸の上げ下げまでということはほとんどありませんでした。

「もっと笑顔にしなさい…」とか「挨拶をするときのお辞儀の角度を深く…」とか、

特に若い人は、そんなことまで注意されることもあります。

新人は30分前に出社することなどの暗黙のルールさえありました。

それができていないと、担当の役員等から呼び出されて勤務態度に対して注意があります。

監査法人でゆったりと過ごしてきた人には、窮屈に感じますよね。

 

【監査法人から経理に転職】年収の変化は?

監査法人から経理

(監査法人から経理に転職したときの年収の変化は?)

 

気になるのが年収の変化だと思いますが、

これはエージェントからどういう求人を紹介してもらうか?によってかなり違ってきます。

転職活動中には、エージェントからの紹介で、複数(5〜6件)のオファーをもらいました。

エージェントはいろいろな視点で仕事を見つけてくれます。

自分があまり考えていなかった業界や、ネクストキャリアにつながるオファーもありました。

年収のオファーは、業種やポジションによっても異なります。

事業会社の課長~部長で、

1,000万円~1,600万円(ボーナス込みの年額)、

金融になると1,400万円〜2,000万円ほどでした。

 

年収アップを狙うなら「会計士専門の転職エージェント」の活用は必須

転職活動には転職エージェントを使う方が効率的だと思います。

中でも会計士専門のエージェント会社を使うのがメリット大きいでしょう。

私は英語の経験も活かしたいと思い、

外資系に強いエージェントも2〜3社使っていましたが、

結局は会計士専門エージェント会社の求人に応募して採用されました。

転職経験者

「来るものは拒まず」でいろんなエージェントと面談したりしましたが、

会計士のキャリアを活かせる求人を一番多く持ってきてくれたのは、

やはり会計士専門の転職エージェント会社の担当者さんでしたね。

会計士専門の転職エージェントを使うと、

  • なぜ今回そのポジションの募集があったのか
  • 今回の募集で必要とされている経歴やスキル
  • 面接を受けたことのある人からの情報

など、 面接の準備をする上で有益な情報をかなりくわしくもらえます。

転職活動って人生でなかなかやることは少ないので、

書類選考対策や面接対策はプロ目線でアドバイスもらった方が通過率は上がりますよ。

例えばですが、渡し自身が気がつかないような指摘として、

「話としては分かりやすかったが、聞く側がプレッシャーを感じないようにもう少し話すスピードを下げたほうが良い」などのアドバイスをもらいました。

面接に同行してくれたり、年収交渉を代行してくれたりもしますので、

使ってみる価値は大いにあると思っています。

>>公認会計士の転職支援専門!実際に募集の求人を見てみる

>>公認会計士専門の転職サイトで求人を見てみる(無料)

>>無料登録して公認会計士むけ求人を見てみる

© 2024 会計職のキャリア戦略