- 会計事務所から監査法人に転職できる?
- 税理士補助としての実務経験はどう評価される?
- 税理士科目合格でも監査法人に採用してもらえる?
- BIG4大手監査法人に採用される人の特徴は?
会計事務所(税理士事務所)で働いている人の中には、
税理士業界から会計士業界へのキャリアチェンジを検討している人もおられるでしょう。
いざ転職してから「こんなはずでは…」
なんてことにならないよう、
働き方の具体的なイメージを持っておくことが大切です。
この記事では、会計事務所から監査法人への転職活動のやり方を解説します。
税理士業界から会計士業界へのキャリアチェンジ成功を目指す人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
会計事務所から監査法人へ転職できる?
結論から言うと、会計事務所の経験者が監査法人に転職することは可能です(よくあるキャリアパスです)
私は会計職専門の転職エージェントを使って情報収集をすることが多いですが、
担当のエージェントさんに聞いたところによると
会計事務所経験者のおよそ半数ぐらいは
無事に内定を取るということでした。
(転職活動期間は早ければ1ヶ月〜2ヶ月程度)
そもそも会計事務所(税理士事務所)で働く人の中には、
もともと監査法人勤務の会計士を目指しているという人は多いですね。
会計事務所で経験を積んだ後、さらなるステップアップとして大手監査法人などへ転職していく人は少なくありません。
また、勤務先の会計事務所所長がもともと公認会計士出身だった場合、
会計事務所でも大手企業の会計監査業務を請け負っていることがあります。
もともとは税理士として独立希望だったけれど、
仕事を通じて会計士の仕事に興味を持って監査法人へキャリアチェンジというケースもあります。
監査法人に転職するには会計士資格は必要?
監査法人に転職するために、
会計士資格やUSCPA資格は必須でしょうか?
大手監査法人(BIG4)の監査部門求人では必須です。
逆に、小規模〜中堅の監査法人では必須ではありません。
また、大手監査法人の場合は
どの職種に応募するのか?
によっても必要資格が違いますよ。
↓大手監査法人とは、一般的に「BIg4」と呼ばれる以下の4法人を指します。
- あずさ監査法人
- 監査法人トーマツ
- EY新日本監査法人
- PwCあらた監査法人
これら大手監査法人の監査部門採用では、
公認会計士有資格者(論文合格者)か、USCPA(米国公認会計士)の有資格者が対象となります。
純粋に会計士として大手監査法人で監査業務をやりたい人は、
公認会計士資格を取得してから就活を始めるのが良いでしょう。
ただし、大手監査法人でも公認会計士資格なしで採用されるケースはある
もっとも、大手監査法人でも募集職種によっては必ずしも会計士有資格者でなくても採用されるケースがあります。
具体的には、会計アドバイザリー業務などをメインとする職種で募集されているケースですね。
将来的には会計士として監査業務で働きたい人も、
こうした職種を狙えば大手監査法人に転職することができます。
こうした職種の場合、会計事務所での税理士補助としての実務経験も自己PRに使えますので、採用される可能性は非常に高くなるでしょう。
まずはこうした職種を狙って転職活動は完了してしまい、
働きながら公認会計士資格の合格を目指すのもありだと思います。
例えば、EY新日本有限責任監査法人では「トレーニー」という制度を導入しており、入社後に働きながら資格取得を目指せるようになっています。
実際に会計士の仕事内容を横で見ながら勉強できるのはモチベーションにつながります。
大手監査法人は税理士事務所よりも給与や福利厚生がはるかに良いのも魅力ですね。
小規模〜中堅監査法人の場合、公認会計士資格は必須でない
監査法人というと「大手監査法人で上場企業の会計監査をやる」というイメージが強いですが、
比較的小さな規模で活動している監査法人も多くあります。
(全国で約250ほどの監査法人があります)
BIG4の従業員数は3000人以上ですが、
準大手監査法人で数百名程度、小規模な監査法人なら従業員10名以内ということもありますね。
↓なお、準大手監査法人というのは、
以下の5社をいいます(公認会計士・監査審査会という組織が決めている基準による分類)
- 太陽有限責任監査法人
- 仰星監査法人
- 東陽監査法人
- 三優監査法人
- PwC京都監査法人
こうした小規模〜中堅監査法人への転職にあたっては、
監査部門の採用であっても、公認会計士資格は必須要件ではありません。
税理士資格や税理士科目合格でも
採用される可能性は普通にありますよ。
会計事務所から監査法人への転職を目指すなら、まずはこうした中堅規模の監査法人を狙ってみるのも一つの選択肢です。
中堅監査法人で働きながら会計資格を取得し、
さらに大手監査法人(BIG4)への転職を狙うというキャリアプランも現実的と言えます。
税理士から公認会計士へのキャリアチェンジ
いま会計事務所で働いている人が、
↓公認会計士への転職を目指すなら以下のようなキャリアプランが現実的です。
- まずは公認会計士試験の短答式に合格する
1年に2回チャンスがあります(5月と12月)
また、税理士試験の簿財と試験内容が共通していますから、働きながらでも短期合格を目指せます。 - 監査法人に転職する
会計事務所での実務経験と、短答式合格を武器にすればハードルは高くないはずです。 - 働きながら論文式合格を目指す
公認会計士試験は短答式よりも、論文式の方が難易度が低いです(もちろん簡単ではありませんが)
監査法人に転職するためには、
少なくとも公認会計士試験の短答式合格が必須になります。
(これは税理士事務所とはちょっと異なる点ですね)
公認会計士試験は
- 1次試験(短答:センター試験みたいなもの)と
- 2次試験(論文)に分かれているわけですが、
↓それぞれの直近試験の合格率は以下のようになっています。
- 1次試験(短答)
直近の合格率:20%前後- 2次試験(論文)
直近の合格率:40%前後- 短期合格者の平均勉強時間
2500時間〜3500時間
社会人として公認会計士試験合格を目指す場合、
2年〜3年程度の受験プランを立てておく必要がありますね。
もっとも、税理士試験の簿財科目合格レベルまで勉強が進んでいる人なら、
1年程度で短答式合格レベルになれるかもしれません。
短答式試験でもっとも比重が大きいのが財務会計ですが、
これは税理士試験の簿記論・財務諸表論と内容的な共通部分が多いです。
なお、働きながら試験合格を目指すなら、
受験勉強と両立しやすい環境で働くことも大切です。
職員の試験勉強を応援してくれる会計事務所への転職も選択肢に入れましょう。
短期合格者の勉強時間は2500時間〜3500時間(公認会計士試験)
短答式試験は1年に2回受験チャンスがあります(例年5月と12月)
↓受験科目は以下の4つです。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
税理士試験の税法科目のような「理論丸暗記」がないので、
人によってはとっつきやすい内容かもしれません。
(管理会計なんかは勉強内容そのものとしてかなり面白いです)
すでに税理士試験の科目合格レベルの学力がある人なら、比較的短期間での合格は可能でしょう。
もちろん、公認会計士試験は日本最難関といわれる国家試験です。
合格までの道のりは簡単ではありません。
論文式試験は合格率が比較的高い(40%前後)ようですが、
この数字は分母が「短答式に合格した人たち」であることにも注意しておきましょう。
(優秀な人たちの中で、頭ひとつ抜け出す必要があります)