今回は、会計事務所の仕事内容のうち年末調整について解説します。
年末調整とは、ごく簡単にいえば
顧問先企業の従業員さんが納める税金(所得税)を計算して、税務署に申告する仕事です。
毎年12月~翌年1月にかけて行う仕事で、
会計事務所の職員としては繁忙期の一歩手前ぐらいの忙しさになる時期ですね。
(本格的な繁忙期となる、確定申告時期の直前に行う業務です)
まだ年末調整業務が未経験の方は、
業務の意味を具体的にイメージしながら読んでみてください。
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ブログ管理人
1985年生まれ。未経験ニートで会計事務所入社→月給16万円で地獄のような目にあう→何度か転職して年収600万円→会計事務所から経理に転職→現在は経理の管理職/2018年開始の当ブログも6年目突入!おかげさまで毎月1万人(累計34万人超)の方に読まれています。
この記事の目次
会計事務所の仕事内容:年末調整って何?
年末調整とは、企業が従業員の税金(所得税)の正確な金額を計算することをいいます。
会計事務所の立場で見ると、
顧問先企業に従業員として雇われている人たちのために、
所得税の金額を計算して税務署に納めるまでの作業を、
顧問先企業の代わりに行うのが年末調整です。
年末調整=「従業員」の所得税計算
なお、ここでいう従業員には、顧問先起業の経営者(役員)も含みます。
経営者も法人からみると雇用している1人の従業員だからです。
その一方で、顧問先企業が個人事業主である場合、その個人事業主さんは「従業員」に含みません。
年末調整のしくみ
この記事を読んでいるあなた自身も、
おそらく正社員やアルバイトとしてお給料を受け取った経験がありますよね。
給与明細を見てもらうとわかりますが、
そのお給料からは、毎月一定額の所得税が天引きされています。
このお給料から天引きされている所得税のことを源泉所得税と呼びます。
この源泉所得税はあくまでも概算額(つまりおおざっぱな金額)ですので、
1年に1回正確な金額に調整しなくてはならないのです。
その調整作業が年末調整業務です。
「調整」を行うのが「年末」のタイミングなので、「年末調整」というわけですね。
なぜ「おおざっぱな金額」を天引きするのか?
毎月のお給料から天引きするのは、
「おおざっぱな金額」であると説明させていただきました。
なぜおおざっぱな金額を天引きするのかというと、
正確な所得税の金額は年末のタイミングにならないとわからないからです。
所得税は「年間の所得の金額」から計算を行います。
そのため、お給料を払う段階(年の途中)ではまだ正確な金額わからないというわけです。
源泉徴収する金額の決め方
なお、「おおざっぱな金額」とはいっても、
その金額は法律できちんと決まっている金額です。
具体的には国税庁が毎年発表する源泉徴収税額表に基づいて天引きする金額を決めます。
非常に細かい数字が並んでいますが、すべてを見る必要はありません。
従業員に支払うお給料から社会保険料を差し引きした金額と、
その従業員が扶養している親族の数から金額は決まりますので、その部分だけをチェックすればOKです。
例えば、社会保険料控除後のお給料の金額が11万8000円で、
扶養している親族の数が0名の人の場合、
↓1,640円をお給料から源泉所得税として天引きします。
従業員のお給料から天引きした源泉所得税は、
お給料を支払った月の翌月10日までに税務署に納付しなくてはなりません。
ただし、規模の小さい企業の場合には「納期の特例」という制度があります。
これは、源泉所得税の納付を半年に一回でOKとしてもらえる特別ルールです。
会計事務所の顧問先企業の場合、この納期の特例を利用しているケースも多いでしょう。
(納期の特例を利用できるのに利用していないお客さんには提案してあげましょう。
支払いを遅らせることができて喜ばれます)
「おおざっぱな金額」を年末調整で正確な金額に調整する
引き続き、上の例を使いましょう(社会保険料控除後のお給料11万8000円、扶養親族0名の従業員)
毎月のお給料から天引きする源泉所得税の金額が1,640円でしたので、
12か月分にすると19,680円(1,640円×12か月=19,680円)ということになります(ボーナスや昇給などはなかったとします)
年末の時点で、この人の所得金額や控除の金額が確定しますから、
そこからこの人の正確な所得税の金額を計算します。
例えば、正確な所得税の金額が15,000円だったとしましょう。
そうすると、年末時点で19,680円-15,000円=4,680円だけ
税金を納めすぎている状態になっています。
(↓下の一覧参照。なお、納めすぎたといっても計算間違いではありません)
- 1月~12月に天引きで納めた所得税:19,680円
- 計算した正確な所得税:15,000円
- 納付しすぎた所得税:4,680円
納めすぎた分については返す必要がありますから、
通常は金額が確定する年末や翌年1月のお給料に加算という形で返還します。
法定調書合計表を1月末までに税務署に提出
すべての従業員さんの年末調整が完了したら、
その結果(「誰からいくら源泉徴収して、正確な税額はこれだけ」という内容)を、
法定調書合計表という書類で税務署に報告します(1月末が期限です)
ここまでで年末調整の仕事内容は完了です。
会計事務所の職員は、自分が担当している顧問先のすべての従業員について一連の年末調整業務を行いますから、
相当な数を処理することになるでしょう。
通常の月次監査を行いながら、この年末調整業務を行うことになりますから、
12月~翌年1月は会計事務所はかなり忙しくなるというわけですね。
(追伸)給料安くて超激務な「ブラック事務所」で絶対に働きたくない人へ
- 税理士事務所ってどこも給料安すぎる…。
- 実務未経験で科目合格もなしだと搾取の対象って本当?
- 将来は税理士として独立目指すけど、今の年収はさすがにキツい…。
- 仕事が忙しすぎて税理士試験全滅…とか絶対避けたい。
- パワハラな所長税理士の下で丁稚奉公みたいに働きたくない…。
↑こんなふうに不満や不安を抱えている方、税理士志望者にはきっと多いと思います。
残念ながら、その不安が的中してしまうケースは少なくありません。
職員を「使い捨て部品」ぐらいにしか考えず、
安月給で搾取しまくるブラック事務所は2024年現在も普通に存在しています。
はっきり言って「令和のこの世の中で、いまだにこんなことやってるのか?」
みたいなブラックな事務所がたくさん存在しているのが現実です。
もちろん「税理士事務所のすべてがブラック」というわけではありませんが、
全体の2割は完全ブラック、
全体の6割はややブラック、
残りの2割だけがホワイト…
みたいな割合がリアルな実態でしょう。
(↓こんな感じ)
↑労働環境が良好な「ホワイト事務所」で働けているのは全体の2割の人だけ。
残りの8割の事務所職員は、ブラックな環境で苦しんでいる…というのが実際のところなんですね。
なぜ、こうなってしまうのか?ですが、理由は単純です。
税理士事務所ってどこもめちゃくちゃ小さな組織で、
しかも所長税理士のワンマン経営なので、
外からの批判にさらされることがないからです。
税理士事務所って、そのほとんどが「所長税理士合わせてスタッフ5名」みたいな感じの小さな組織です。
大企業の場合、ブラックなことやってたら新聞やテレビマスコミから批判されますよね。
でも、税理士事務所みたいに小さな組織が、
メディアに注目されることなんてほとんどないです。
一般企業のように株主と経営者が分離しているなんてこともありません。
基本的に「所長税理士=事務所のオーナー」なので、
ブラックなことやってても、誰からも批判されませんし、
労働組合みたいな「労働者の権利を守る組織」みたいなものもありません。
さらにいえば、ネット上でも「実際に事務所で働いた人たちの正直な口コミ」がめったに出てこないんです。
ただでさえ狭い業界な上に、所長税理士どうしの横のつながりが強いので、
自分の事務所の悪口をネットに書き込んだりすると、
すぐに気づかれてしまってヘタをすると業界にいづらくなる…。みたいなことすらあります。
みんな自分のキャリアを危険に冒してまで、ネットやSNSに口コミなんて書かないんですね。
こんなふうに、ブラック事務所を見分けるための情報が非常に少ないせいで、
まちがえてブラックな事務所に応募してしまう人が続出するんです。
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なぜ「最大手のリ●ナビ」をおすすめしないのか?
転職サイトっていろんなところがありますよね。
リク●ビとかindeedの方が「学生時代の就活とかでも使ってなじみがあるし、Googleで検索したときに上の方に出てくるから安心」と思われる方も多いかもしれません。
ただ、個人的にはこういう転職サイトの選び方はおすすめしません。
リクナビとかindeedって、企業側が求人掲載をする料金が以上に安い上に、
ろくな審査もないのでブラックな事務所でも求人出し放題なんですよね…。
あと、税理士業界って採用側も応募側も、ニーズがかなり特殊です。
採用側(事務所側)は繁忙期と閑散期で採用の難易度をガラッと変えてきたりしますし、
応募側(私たち)も税理士受験生なので仕事と勉強の両立がマストだったり、
社会人から勉強スタートの人が多く、キャリアスタートの年齢が高めだったりと、
一般的な転職活動とは事情がかなり異なるケースが多いんです。
特に未経験者の方は、年収が極端に低い事務所(年収200万円代など)に応募しないように注意しないといけません。
実務経験者はともかく、業界的な年収相場をよく知らない未経験者を狙って、
「うちは勉強しながら働けますよ!(なので年収は低くても我慢してね!)」
みたいな感じで、極端に低い年収で募集をかけているブラックな事務所は本当に多いんです。
↓以下のいずれかに該当する人は、
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- 税理士試験との両立ができる事務所で働きたい人
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「転職したいけど、今すぐは転職活動は始められない。
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これは実際に求人検索してみるのが早いかもしれませんが、
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転職サイトには無料のエージェントサービスがつくことが多いですが、
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最後の最後にお伝えしたいこと
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具体的には、どの転職サイトを使うか?(リクナビなどの「一般向け」を使うか?税理士業界専門か?)で大きな差がつきます。
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↑この前者は実は過去の私の姿そのもので、
今思うと「もっと早く行動しておけばよかった」と後悔しています。
この記事を読んでくださったあなたは、もちろん後者を目指してください。
いまどんな状況にいる人でも、
成功に向かって一歩踏み出すことは可能です。