- せっかく大手企業に入社し、経理の仕事にも慣れてきたけど、いまいちやりがいが感じられない…。
- はっきりいって毎日つまらない。経理の仕事ってどこの会社もこんな感じ?
- 中小企業やベンチャーの経理ならもっと面白いの?
経理という職種は、「会社の規模」によって仕事内容がかなり違う仕事です。
大企業の経理は年収や福利厚生で恵まれていること、社内での出世ルートを着実に進めていけることなどが魅力ですね。
その一方で、「いかんせん仕事そのものがつまらない…」と感じてしまっている人も多いようです。
経済的に安定していても、仕事そのものが面白くないとなかなか続けられませんよね。
この記事では、大企業の経理が「つまらない」と感じてしまいがちな理由について紹介します。
企業規模によって経理の仕事にどのような違いがあるのか?についても具体的に紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
大企業の経理が「つまらない」といわれる理由

(大企業の経理がつまらないと感じる理由は?)
↓まず、大企業の経理がつまらないと感じてしまう理由として、以下のようなことが考えられます。
大企業の経理がつまらない理由
- 一定以上の役職にならないと仕事の全体像が見えない
- 単純作業が多い
- 典型的な「組織の歯車」という働き方になる
それぞれの内容について、順番に見ていきましょう。
↓※次の項目にジャンプしたい方はこちらをクリック(この記事の下部に移動できます)
>>企業規模(大企業・中小企業・ベンチャー)ごとの経理の仕事内容の違い
一定以上の役職にならないと仕事の全体像が見えない
経理という職種は一定以上の役職に就いていないと、仕事の全体像が見えてこないという特徴があります。
この傾向は、企業の規模が大きくなるほど強くなります。
つまり、大企業の経理は中小企業の経理やベンチャーの経理にくらべて、
「この仕事ってどういう意味があるんだ?」ということが見えてきにくというわけですね。
その一方で、大企業の経理は仕事内容がハイレベルになればなるほど、中小企業やベンチャーでは経験できないような高度な業務を経験することができます。
四半期決算があるのは大企業だけですし、上場企業なら公認会計士による監査対応や、株主総会対策といった重要な業務を担当することができます。
また、扱う仕事の数字そのものが大きく、大きな金額の資金調達(融資や株式発行など)を経験できることは、経理としてのキャリアアップを考える上での貴重な経験となります。
経理の仕事内容には、たくさんの種類があります。
日常の仕訳処理や支払処理から始まり、月次決算の組み上げ、役員への報告、資金繰り対策…などなど。
また、1年間の経理業務の総仕上げになる決算、四半期決算処理、税務申告など、難易度の高い仕事もたくさんあります。
大企業では、これらの仕事は、経理としての経験がまだ浅い人(実務経験3〜5年以内など)は、なかなか担当者として任せてもらえません。
結果的に、新人層の仕事内容は会計ソフト入力や領収書整理…といった「経理としてあまり面白いと感じにくいもの」になりがちなのです。
単純作業が多い
大企業で働く大多数の経理職員は、単純作業的な仕事に追われがちです。
↓たとえば、あなたは以下のような仕事ばかりを担当していないでしょうか。
大企業経理の「単純作業」
- 取引先からの入金に対する売掛金や未収入金の消し込み
- 数百人から数千人以上の経費申請に対する領収書のチェック
- 請求書とシステムの金額チェックおよび振込チェック
- 決まったパターンの日次仕訳処理
大企業の経理では、こういった日々の単純作業の量そのものも多いです(中小企業・ベンチャーに比べて)
これらの仕事は、そこまで高度なスキルが求められるけではありませんから、新入社員が業務に慣れていくのにはもってこいの仕事ではあります。
しかし、経験3年〜5年目の人がやるには「ちょっと難易度が低すぎる…」と感じることも多いでしょう。
(もちろん、これらの業務も重要であることには間違い無いのですが)
典型的な「組織の歯車」という働き方になる
大企業の経理においては、すべての仕事が「完全な分業制」となっていることが多いです。
例えば、いったん入金消込のチームに配属されると、それ以降数年間は毎月入金消込のみを担当することになる…といった具合ですね。
担当によっては、「入社1年以上経っているのに、簡単な仕訳処理すらまだやったことがない」といったケースがざらにあります。
人間は、自分の成長を実感できないとマンネリを感じてしまうものです。
そうなると、経理としての重要なスキルを身に付けることがなかなかできず、次第に「経理はつまらない」と感じる原因にもなっていきます。
企業規模(大企業・中小企業・ベンチャー)ごとの経理の仕事内容の違い

(ベンチャー経理や中小企業経理との仕事内容の比較)
ここまでは大企業経理の仕事の特徴について紹介しました。
以下では、中小企業・ベンチャー企業の経理と比較した場合の、大企業経理のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
大企業経理のメリットとデメリット
大企業経理としてのデメリットは、
上でも見たように「ある程度の経験を積まないと、仕事そのものがつまらないと感じる」ことです。
理由としては、仕事の全体像が見えないことと、組織の歯車として単純作業になりがちということでした。
「大企業は、仕事が楽しいと感じられるようになるまで長い修行が必要」ともいえますね。
その一方で、大企業で働くことには、給与や福利厚生面ではやはり優位性があります。
↓おおよその平均ですが、入社3年目〜5年目だと以下のような給与水準と言えるでしょう。
入社3年〜5年目の給与水準比較
- 大手企業 :年収400万円〜500万円
- 中小企業 :年収300万円〜400万円
- ベンチャー:年収250万円〜500万円
大企業は、企業としても安定しているため、倒産を心配する必要がほぼなく安心して働くことができます。
社内での出世ルートが安定している(この部署を経験したら、次はこの部署、というようにおおよその出世コースが予め固まっている)こともあり、一つの企業の中で安定的にキャリアアップしていけるのも魅力です。
ただし、ベンチャーは下限が低い一方で、会社の業績によっては大きな額のボーナスが出る可能性があるのが特徴ですね。
そうすれば、より難易度の高い仕事にチャレンジすることができ、それに比例して給与も高額になることも大企業経理の魅力です。
中小企業経理のメリットとデメリット
一方で、中小企業経理にも魅力があります。
それは、入社してから比較的早い段階で、経理の全体像を見渡せる仕事を任せてもらえる点です。
「経理としての能力をまんべんなく、オールマイティに身に付けたい」と感じている人は、中小企業の経理で実務経験を積むのがおすすめですよ。
中小企業では大手企業と比べて人員そのものが少ないですから、場合によっては、スタッフレベルでも月次決算の仕上げまでを担当することも少なくありません。
実際にやってみるとわかりますが、月次決算を自分でやってみると、自分の会社が置かれている状況というのが手に取るようにわかるようになります。
月次決算を組めるレベルになれば、年次決算や税務申告といった難易度の高い業務についても実践レベルで通用するようになります。
中小企業から大企業へ脱皮する段階の企業なら、上場準備(IPO準備)、国際会計基準への対応準備といった経理として面白い仕事も経験できるでしょう。
また、資金繰り対策(金融機関との融資交渉)や、予算計画の策定・管理会計関連の業務といった、より「経営に近いレベル」での仕事を任せられる可能性もあります。
つまり、中小企業の経理は、大企業経理よりも早く経験値を積めるということです。
中小企業の経理は、大企業の経理と比べて給与や福利厚生で劣るのがデメリットですが、仕事そのものの面白さを実感しやすいのはメリットですね。
なお、中小企業においては社内の人間関係によって仕事のしやすさがかなり変わるのには注意です。
中小企業経理は転勤や配置転換などが基本的にありませんから、社内でのコミュニケーションにも気を配ることが大切です。
経営層や他の社員とうまくやっていけない場合は、経理としても居心地が悪いと感じることもしばしばで、それはデメリットになり得ますね。
ベンチャー企業経理のメリットとデメリット
ベンチャー企業の経理として働く魅力は、
会社としての経営判断が早く、経理としても「経営に近い感覚」で仕事ができることです。
また、ベンチャーは良くも悪くも「経理としての仕事内容が安定していない」のも特徴です。
毎日が手探りのような感じで落ち着かないというデメリットはありますが、
一から仕事を作っていくという面白さを実感することもできます。
ただし、ベンチャー企業というものは「創業から3年以内に50%が廃業する」といったデータもあります。
給与や福利厚生も上下しやすく、会社として安定していないということがデメリットとなります。
ベンチャーに挑戦するなら、給与や福利厚生の面では大きなリスクを負うことは覚悟しておく必要があります。
その一方で、ベンチャー企業の経理として一から経理業務を作って行った経験は、転職市場でも高く評価される可能性があります。
まだ年齢的に若い方なら、ベンチャー経理に挑戦するのも一つの選択肢としてありだと思いますよ。