今回は、会計事務所の仕事内容の基本である「月次監査(巡回監査)」について説明させていただきます。
月次監査は会計事務所の仕事内容として「日常のルーティン業務」といえます。
(簡単に言えば、毎日やる仕事です)
月次監査をきちんとやっているかどうかによって、一番重要な決算業務の精度が決まってきます。
とても重要な仕事内容ですので、ぜひ具体的なイメージを持ちながら読んでみてくださいね。
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ブログ管理人
1985年生まれ。未経験ニートで会計事務所入社→月給16万円で地獄のような目にあう→何度か転職して年収600万円→会計事務所から経理に転職→現在は経理の管理職/2018年開始の当ブログも6年目突入!おかげさまで毎月1万人(累計34万人超)の方に読まれています。
この記事の目次
月次監査(巡回監査)とは何か?
月次監査とは、ものすごく単純化していうと、
顧問先企業が経理作業をちゃんとやってくれているかをチェックしに行く仕事です。
具体的にいえば「実際の取引内容を、会計ソフトに入力していく作業」をちゃんとやってくれているかをチェックします。
月次監査ではどんな風にチェック作業を行う?
日常的に、会計ソフトへの入力作業は顧問先の経理スタッフさんなどがやってくれているでしょう。
会計事務所の職員は、1か月に1回ぐらいのスパンで顧問先を訪問し、入力作業が正しく行われているか?をチェックします。
例えば、お客さんから注文が入って商品の納品が完了したら、代金の請求書をお客さんに送るでしょう。
請求書を作成した時点でその会社としては売上が立ったことになりますから、
実際に送った請求書の内容に基づいて「売掛金/売上高」というように会計ソフトに仕訳を入力します。
しかし、人間のやっている作業ですから、
仕訳のしかたをまちがえてしまったり、
金額をまちがえてしまったりすることも少なくありません。
そうした間違いがないか?をチェックし、間違いがあれば修正していくのが月次監査の役割です。
具体的には、請求書などの「現資料」の内容と、会計ソフトの入力内容を照らし合わせて、
入力内容が正しいかどうかを見ます。
(もしまちがえていれば、入力内容を現資料に合わせます。
当たり前ですが、現資料の方を修正してはいけません)
月次監査は顧問先企業を実際に訪問して行う
請求書などの現資料は事務所に持って帰ってくるわけにはいきませんから、
顧問先に実際にお邪魔する必要があります。
もちろん、チェックするのは上で見たような売上高だけではありません。
- 販売する商品を購入したら仕入れ先からの請求書、
- 経費が発生したら領収書、
- 従業員さんにお給料を払ったら賃金台帳…
↑などなど、現資料と会計ソフトの内容の照合作業をひたすら行っていきます。
機械的にチェック作業をやっていくだけではなくて、
経理スタッフさんと相談しながら「ここはこう作業したほうが効率的で良い」とか、
こういうデータを準備しておくと社長の経営判断に役立つかも、といったアドバイスもしていきます。
チェックが完了したら試算表を出力して経営者に報告する(月次監査完了)
チェック作業が完了したら、その月の会計データを集計し、試算表として出力します。
多くの会計ソフトの場合、1ヶ月分の会計データを集計完了(月次決算完了)したら、
後から直接修正することができなくなります。
(どうしても修正が必要な場合、修正仕訳を新たにいれるというかたちで修正します)
月次監査の結果として完成する試算表は、顧問先企業にしてみれば「今月の成績表」のようなものです。
顧問先企業の社長に、事業の状況を正しく把握しておいてもらうためにも、
試算表の内容をきちんと説明することが大切です。
月次監査では顧問先経営者からさまざまな質問や相談を受けることも
なお、月次監査では顧問先の経営者から、
節税対策や資金繰り対策などの相談を受けることもあります。
顧問先企業からしたら、毎月顧問料を会計事務所に支払っていますから、
税金や資金繰りについてアドバイスを受けたいと考えるのは当然のことです。
月次監査をきっかけに経営者と直接顔を合わせた時に、
きちんと付加価値のあるアドバイスをできるかどうか?が、
会計事務所と顧問契約を長期にわたって継続してもらえるかのポイントになりますね。
月次監査をきっちりやっておくと決算業務が楽になる
こうした月次監査を12か月分毎月やっていき、
12か月分のデータをもとに1年に1回決算を行って税務申告…
で1つの顧問先のお仕事が完結することになります。
↓決算業務の仕事内容についてはこちらの記事をご覧ください。
-
会計事務所の仕事内容:決算業務・税務申告ではどんなことをする?
この記事では、会計事務所の仕事内容のうち「決算業務」について説明します。決算業務は会計事務所の仕事のうちもっとも重要な仕事といえます。会計事務所職員としてどの程度の実務経験があるか?については、この決算業務の経験数で測られることも多いです。最重要業務という位置付けですので、ぜひ具体的に理解しておきましょう。
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月次監査を毎月きちんとやっておけば、
決算作業としてやることは基本的に流れ作業で完了できます。
極端な話、月次監査が神戸期なら、決算作業なんてほとんどやることがありません。
(決算整理仕訳なんかも自動的に会計ソフトが処理してくれます)
毎日のルーティン作業である月次監査をいかに正確にやれるか?で、
会計事務所職員の仕事の質が決まると言っても過言ではないでしょう。
月次監査は顧問先の経営者と話をする貴重な機会
また、月次監査は顧問先の経営者と話をする貴重な機会です。
はじめのうちは緊張するものですが、顧問先の経営者と真摯に向き合い、
いろんな相談に真剣に答えていくことで信頼関係を構築していくことが大切です。
経営者という仕事はとても孤独です。
経営者である社長は従業員には相談できない内容(例えばお給料いくらにするか?とかボーナスをいくら出すか?など)
を相談できる相手を探しています。
その相手は同じ経営者相手だったり、経営コンサルタントだったりすることもあるでしょう。
しかし、中小企業経営者が一番相談しやすいのが会計事務所職員なんです。
月次監査では機械的に経理のチェックを行うだけでなく、
ぜひ経営者と本気で向き合うことを意識したいものですね(それが会計事務所の存在意義であったりします)
信頼関係のある顧問先経営者からは新しいお客さんを紹介してもらったり、
節税対策などで保険加入や資産購入などで自分の所属する勤務先に代理店報酬などが入る案件が出てくる可能性もあります。
こういう「おいしい話」を自分が勤務する税理士事務所に持って帰るためにも、
普段から月次監査で顧問先経営者と信頼関係を構築していくことがとても大切です。
(追伸)給料安くて超激務な「ブラック事務所」で絶対に働きたくない人へ
- 税理士事務所ってどこも給料安すぎる…。
- 実務未経験で科目合格もなしだと搾取の対象って本当?
- 将来は税理士として独立目指すけど、今の年収はさすがにキツい…。
- 仕事が忙しすぎて税理士試験全滅…とか絶対避けたい。
- パワハラな所長税理士の下で丁稚奉公みたいに働きたくない…。
↑こんなふうに不満や不安を抱えている方、税理士志望者にはきっと多いと思います。
残念ながら、その不安が的中してしまうケースは少なくありません。
職員を「使い捨て部品」ぐらいにしか考えず、
安月給で搾取しまくるブラック事務所は2024年現在も普通に存在しています。
はっきり言って「令和のこの世の中で、いまだにこんなことやってるのか?」
みたいなブラックな事務所がたくさん存在しているのが現実です。
もちろん「税理士事務所のすべてがブラック」というわけではありませんが、
全体の2割は完全ブラック、
全体の6割はややブラック、
残りの2割だけがホワイト…
みたいな割合がリアルな実態でしょう。
(↓こんな感じ)
↑労働環境が良好な「ホワイト事務所」で働けているのは全体の2割の人だけ。
残りの8割の事務所職員は、ブラックな環境で苦しんでいる…というのが実際のところなんですね。
なぜ、こうなってしまうのか?ですが、理由は単純です。
税理士事務所ってどこもめちゃくちゃ小さな組織で、
しかも所長税理士のワンマン経営なので、
外からの批判にさらされることがないからです。
税理士事務所って、そのほとんどが「所長税理士合わせてスタッフ5名」みたいな感じの小さな組織です。
大企業の場合、ブラックなことやってたら新聞やテレビマスコミから批判されますよね。
でも、税理士事務所みたいに小さな組織が、
メディアに注目されることなんてほとんどないです。
一般企業のように株主と経営者が分離しているなんてこともありません。
基本的に「所長税理士=事務所のオーナー」なので、
ブラックなことやってても、誰からも批判されませんし、
労働組合みたいな「労働者の権利を守る組織」みたいなものもありません。
さらにいえば、ネット上でも「実際に事務所で働いた人たちの正直な口コミ」がめったに出てこないんです。
ただでさえ狭い業界な上に、所長税理士どうしの横のつながりが強いので、
自分の事務所の悪口をネットに書き込んだりすると、
すぐに気づかれてしまってヘタをすると業界にいづらくなる…。みたいなことすらあります。
みんな自分のキャリアを危険に冒してまで、ネットやSNSに口コミなんて書かないんですね。
こんなふうに、ブラック事務所を見分けるための情報が非常に少ないせいで、
まちがえてブラックな事務所に応募してしまう人が続出するんです。
しかも、完全ブラックな事務所ほど人を集めるのに必死ですから、
「うちはアットホームで家族的な雰囲気です!…」
みたいに求人サイトでアピールしたりするので、たちが悪いんですよね…。
ブラック事務所の求人を「最初から選択肢に入れない」ことが重要
これは税理士業界に限らずですが、
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「うちは求人数ではリクナビには勝てませんけど、
求人の『質』ではリクナビなんかより圧倒的に良いものがありますよ」
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税理士業界志望者はリク●ビやハロワ、indeedは使わない方が良い
私は、税理士業界で転職するなら、
リクナビやハロワ、indeedなど、
「一般向け求人サイト」は使わない方が良いと思ってます。
なぜかというと、登録されている求人の質があまりにも低すぎるからなんですね。
実際、私が1社目に入社した事務所は完全にブラック事務所だったんですが、
この事務所はハローワーク経由で応募しました。
(窓口の職員さんに「こちらは特におすすめですよ」と紹介されました…)
私も後から知ったんですが、ハローワークの相談員って、
彼ら自身が非正規職員だったりするんです。
はっきりいってけっこういい加減なんですよね…。
税理士業界への転職を検討している方は、
厳選された求人だけが掲載されている専門サイトを使いましょう。
リクナビやindeedと同じように完全無料で使えるサイトなので、こちらを使わない理由はないです。
(みんな知名度だけでリクナビを選び、失敗します)
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なぜ「最大手のリ●ナビ」をおすすめしないのか?
転職サイトっていろんなところがありますよね。
リク●ビとかindeedの方が「学生時代の就活とかでも使ってなじみがあるし、Googleで検索したときに上の方に出てくるから安心」と思われる方も多いかもしれません。
ただ、個人的にはこういう転職サイトの選び方はおすすめしません。
リクナビとかindeedって、企業側が求人掲載をする料金が以上に安い上に、
ろくな審査もないのでブラックな事務所でも求人出し放題なんですよね…。
あと、税理士業界って採用側も応募側も、ニーズがかなり特殊です。
採用側(事務所側)は繁忙期と閑散期で採用の難易度をガラッと変えてきたりしますし、
応募側(私たち)も税理士受験生なので仕事と勉強の両立がマストだったり、
社会人から勉強スタートの人が多く、キャリアスタートの年齢が高めだったりと、
一般的な転職活動とは事情がかなり異なるケースが多いんです。
特に未経験者の方は、年収が極端に低い事務所(年収200万円代など)に応募しないように注意しないといけません。
実務経験者はともかく、業界的な年収相場をよく知らない未経験者を狙って、
「うちは勉強しながら働けますよ!(なので年収は低くても我慢してね!)」
みたいな感じで、極端に低い年収で募集をかけているブラックな事務所は本当に多いんです。
↓以下のいずれかに該当する人は、
税理士業界専門の転職サイトを使って求人を探すようにしましょう。
- 税理士試験との両立ができる事務所で働きたい人
- 毎年「1年に1科目」などのかたちで、着実に科目合格を積み重ねていきたい人
- 業界相場より低年収の事務所にまちがえて応募する愚を避けたい人
- 将来の独立を見すえて開業資金をちゃんと貯金していきたい人
- 税理士試験に失敗した場合に備えて、企業経理への転職という選択肢も検討している人
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忙しくて今すぐは転職活動できない…という人へ
「転職したいけど、今すぐは転職活動は始められない。
ひょっとしたら今の勤務先に残るのがベストかもしれないし…。」
↑今の環境にいろいろ不満はあるけれど、
なんとなく不安で動けなくなっちゃってる方も多いでしょう。
転職活動なんて人生でそう何回もやることじゃないですし、
そのわりに人生に与える影響がデカくて不安になっちゃいますよね。
私自身もブラックで働いている時に経験したことなんですが、
今いる職場でストレスがマックスまで溜まると、
まじで何も行動する気がなくなるんですね。
転職って年齢的に若ければ若いほど有利なのが現実ですし、
精神的な疲労が溜まってくると人間って正常な判断が効かなくなってきます。
どんなに時間がなくて忙しい人も、
受動的に(受け身で)入ってくる状態にしておくことが大切です。
希望年収や勤務地などを転職サイト内で入力しておくと、
マッチする最新のおすすめ求人がメールが定期的に入ってきます。
↓ある日の私のメールボックスをお見せすると以下の画像のような感じ。
あらかじめ自分で入力した年収などの条件にマッチする求人が出たら、
最速でメール通知してくれるので見逃しがなくなります。
↑良さげな求人が見つかったらブックマーク保存しておきましょう。
これやっとくだけで、「どうしてもつらくなったら転職もある」という選択肢を持つことができます。
過労やストレスでぶっ倒れる前に行動を起こすことができますよ。
転職サイトは完全無料で情報リサーチに使えて、いつでも即解除できます。
変な電話連絡が来るようなこともないです。
無料で使えるものは徹底的に使い倒しましょう。
よくある質問と回答(Q&A)
転職サイトに関して、
あるあるな疑問とそれに対しての回答を載せておきます。
転職サイトは本当に無料?なぜ無料?
転職サイトは、企業や事務所が払う紹介手数料(広告料)で運営されています。
お金払ってるのは企業側だけなので、
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転職サイトに登録したら電話セールスとかうるさくない?
転職サイトの登録は基本的にメールアドレスだけでできるので、
電話はかかってこないですね(相手はこちらの電話番号を知らない状態)
定期的に「こういう求人出てきましたけどどうですか?」みたいな連絡はくれますが、基本的にはメールオンリーです。
未経験資格なしでも応募できる事務所ってあるの?
これは実際に求人検索してみるのが早いかもしれませんが、
税理士事務所って未経験OK求人が意外に多いです。
ただ、リクナビとかハロワで探すと年収200万円台…みたいな、
完全ブラックな事務所もわんさか出てきたりするので、くれぐれも注意してください。
未経験無資格でも年収400万円以上の求人ぐらいなら、普通にたくさんありますよ。
複数の転職サイトを同時に使っても問題ない?
これはまったく問題ないです。
むしろ、たくさん使った方がいろんな求人に出会えるチャンスがひろがるので、2社〜3社ぐらいを使い回す方が良いでしょう。
転職サイトには無料のエージェントサービスがつくことが多いですが、
担当してくれるエージェントとの面談に進んだような場合には、
他社のエージェントからも話は聞いてますぐらいに教えてあげると親切かもしれませんね。
(求人リサーチのために転職サイトを使いたい用途の場合には、そもそもエージェントとのやり取りは発生しません)
最後の最後にお伝えしたいこと
↓仕事や転職で成功するために大事なのって、結局はこれです。
転職活動でもっとも重要なのは、能力やスキルより情報収集です。
具体的には、どの転職サイトを使うか?(リクナビなどの「一般向け」を使うか?税理士業界専門か?)で大きな差がつきます。
税理士業界は、能力的にとても優秀なのに、
転職活動のやり方がまずかったのが原因で、
ブラック事務所で働くことを余儀なくされている人…がものすごく多いです。
転職サイトへの登録なんて、実際には1分でできる作業です。
お金もかかりませんし、気に入らなければ即解除できるのでリスクなんて何もありません。
それでもやらない人はやらないですし、やる人はさくっととやります。
↓今から5年後に、あなたはどちらになっていたいでしょうか。
- 劣悪な雇用環境で給料も安く、税理士試験もいつまでたっても科目合格ゼロ…。貯金もゼロ…。
- 働きながらスピーディに5科目合格達成。年収高めなので独立資金のめどもある程度ついている。あとは税理士としての実務能力を高めていくだけ…!
↑この前者は実は過去の私の姿そのもので、
今思うと「もっと早く行動しておけばよかった」と後悔しています。
この記事を読んでくださったあなたは、もちろん後者を目指してください。
いまどんな状況にいる人でも、
成功に向かって一歩踏み出すことは可能です。