- 30代から税理士を目指すって遅い?
- 会計事務所(税理士事務所)に未経験で転職するなら何歳まで?
- 働きながら税理士試験に合格するのは可能?

30代の社会人です。
これから税理士を目指そうと考えているのですが、
年齢的にきびしいでしょうか?
30代から未経験の業界に挑戦するのは勇気がいりますよね。
ただ、税理士業界に限っていえば、
30代という年齢は決して遅くありません(むしろ若い方です)
未経験から税理士を目指すのは十分可能ですよ。

私はこれまでに3社の会計事務所(税理士事務所)で働き、
10年ほどの実務経験があります。
経験した3つの事務所いずれでも、
30代未経験からキャリアスタートする人はいました。
社会人として働きながら税理士試験に5科目合格し、独立する人は普通にいますよ。
この記事では、30代未経験から税理士を目指す方向けに、
税理士としてのキャリアをスタートする具体的な方法を解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
30代未経験から税理士を目指すことは十分に可能

(30代・未経験から税理士になることは十分に可能です)
そもそも税理士という職業は平均年齢がとても高い職業です。
「学生時代からずっと税理士を目指して勉強していた」という人はとても少なくて、
どちらかというと、
社会人になってから税理士という職業の存在を知り、目指すことにした。
という人の方が圧倒的に多いでしょう。
日本税理士連合会が公表している統計によると、
↓税理士有資格者の年齢構成は以下のようになっています。

(税理士資格保有者の年齢別割合)
- 20代:0.6%
- 30代:10.3%
- 40代:17.1%
- 50代:17.8%
- 60代:30.1%
- 70代:13.3%
- 80代:10.4%
税理士の年齢構成でもっとも多いのは60代(30.1%)です。
また、20代〜30代で税理士有資格者になっている人は、たったの10.9%しかいません。
逆にいえば、税理士の89.1%は40代以上の年齢ということになります。
ちまたでは「35歳転職限界説」などといわれることもありますが、
税理士業界に限ってはこれは当てはまらないですね。

税理士の平均年齢がとても高い理由
このように、税理士の平均年齢がとても高くなっている理由は、
税理士試験がそもそも「社会人向けの試験」になっているからです。
↓具体的には、以下の2つの理由ですね。
税理士試験が社会人むけな理由
- 受験資格の制限がある
日商簿記1級または大学卒業がないとそもそも試験が受けられません(その他実務要件を満たすことで受験資格を得るケースもあります) - 科目合格制度がある
一度合格した科目は一生涯有効なので、社会人でも「1年に1科目ずつ、5年かけて合格」という現実的なプランを立てることができます。
働きながら合格を目指すのに適した試験といえます。
このように、
税理士試験そのものが「社会人向け」のルールになっていますので、
必然的に社会人(20代後半〜30代)になってから税理士を目指す人がとても多いのです。

30代社会人が税理士を目指す最短ルートはこれ

(未経験の30代社会人が最短で税理士になるルートは?)
結論から先にいうと、30代社会人の方が税理士を目指す場合、
↓こちらが税理士を目指す最短ルートといえます。
- 会計事務所(税理士事務所)で働きながら、
- 税理士としての実務経験を積みつつ、
- 5年〜10年ほどかけて税理士試験合格を目指す
30代社会人から税理士を目指す場合、
目標は「税理士資格を手に入れること」ではなく、
「税理士として仕事ができるようになり、
今よりもたくさんのお金を稼げるようになること」
ですよね。
少しでも早く税理士としてのキャリアをスタートするなら、
会計事務所で税理士としての実務を学びつつ、
毎年1科目ずつでも科目合格を確実に積み重ねていくことを目指しましょう。

会計事務所で働きながら税理士を目指す人が多い理由

(税理士を目指す人の多くは、会計事務所で働きながら税理士試験合格を目指します)
すでに社会人になっている人が未経験から税理士を目指す場合、
会計事務所で働きながら税理士試験合格を目指すのがもっとも多いキャリアルートです。
会計事務所(税理士事務所)というのは、
かんたんに言えば税理士が開業している個人事務所のことですね。
すでに独立している別の税理士の元で実務を学びながら、
税理士試験への合格を目指している人が多いです。
まだ税理士資格のない人が会計事務所で働く場合、
税理士補助という扱いになりますが、
やっている仕事は税理士とまったく同じです。

税理士補助として会計事務所に入社した場合、
税理士としての実務をゼロから学ぶことができます。
税理士試験の勉強と同時進行で、
税理士としての実務能力を身に付けることができるというわけですね。
税理士試験の勉強内容と、会計事務所の仕事内容はリンクしている
また、税理士試験の勉強内容と、
会計事務所の仕事内容が非常にリンクしているのもポイントです。
例えば、試験対策として法人税法の理論を学びながら、
仕事では法人税の申告書を実際に作成するといった具合ですね。

このように、実務とリンクさせながら試験勉強を進めていくことができますから、
試験勉強だけをしている人たちよりも理解が立体的で深くなるのです。
仕事で学んだことを試験勉強に生かす(逆もまたしかり)というかたちで、
効率的に勉強を進めていくことができますよ。
未経験から税理士業界に入っていく人によくあるキャリアプラン

(社会人になってから税理士を目指す人に多いキャリアパターンとは?)
実際に税理士業界に入ってくる経緯として多いのが、
↓以下のようなかたちですね(私自身もこのパターンでした)
- 大学を卒業してまったく別の業界に新卒入社
- 数年間働いてみたけど、企業や業界に将来性を感じないので、専門職への転職を目指し始める(税理士を目指して勉強スタート)
- でも「無職で勉強専念」は社会人の選択肢として難しいので、社会人として働きながら合格を目指すことに
- 会計事務所に転職して税理士の実務を学びつつ、1年に1科目などの形で科目合格を重ねていく
- 5年〜10年で税理士試験に5科目合格する
- 仕事や人脈に自信が持てたタイミングで独立開業や転職
いったん無職になって税理士試験の勉強に専念するという人も中にはいますが、
個人的にはあまりおすすめしません。
↓その理由としては以下の3つですね。
- 無職で勉強に専念しても合格の可能性が上がるとは限らない
無職になって勉強に専念すれば勉強時間の確保は楽になりますが、必ずしも合格可能性が高くなると言うわけではありません。
税理士としての実務を経験しながら勉強すると、試験勉強も知識としての定着がよくなりますから、合格率が高くなることもあり得ます。 - もし合格できなかった場合のリスクが大きすぎる
勉強に専念するためにいったん無職になる場合、当然ながら勉強期間中は履歴書や職歴所はブランク状態になります。
無事に試験合格できればいいですが、最悪のケースも考えておかないといけません。
30代になってから長期のブランク期間を作ってしまうことは、場合によってはキャリアに致命的なダメージを与えてしまいます。 - 税理士試験に合格してもすぐに税理士として働けるわけではない
無事に税理士試験に合格できたとしても、いきなり税理士として仕事ができるわけではありません。
多くの場合は未経験で会計事務所で働き、いちから仕事を覚えていくことになりますが、未経験で転職するなら年齢は若いに越したことはありません。
会計事務所に未経験で入社したらどんな仕事内容からスタートする?

(会計事務所に未経験で入社したら、どんな仕事からスタートする?)
一番多いケースとしては、
入社してから半年ぐらいは事務所内部で基本的な実務の研修を受け、
だいたい半年〜1年ぐらいたったら自分の担当顧問先を持って、
顧問先企業の巡回監査にも出ていくという形ですね。

いきなりお客さんから会計や税務について難しい質問を受けるというようなことは、
普通はないと思います(事務所の信用問題になるので)
未経験・資格なしの人で「入社後に仕事についていけるかどうか不安…」という方も過度に心配することはありませんよ。
もちろん、自主的に仕事を覚えていく努力は必要ですけどね。
30代が会計事務所に未経験で転職した場合の平均年収は?

(会計事務所の平均年収は?)

ネットの口コミでは「会計事務所は給料が安い」というのが多いのですが、
これって本当ですか?
私は年齢が30代で家族もいるので、
できるだけ年収は下げたく無いのですが…。
未経験で会計事務所に入社する場合、
平均年収は300万円〜350万円程度と考えておきましょう。
実務経験者として転職できればもっと稼ぐことができますが、
未経験者として入社する場合はどうしても年収は低くなります。

もっとも、最近では税理士業界も人手不足ですから、
未経験でも給料の高いホワイトな事務所も増えてきていますよ。
↓未経験者OKの会計事務所求人の例
少しでも条件の良い会計事務所の求人を探すなら、
↓下記のような会計職専門の転職サイトで探すのがおすすめですよ。
(いずれも無料で使えるサイトです)
MSジャパン
未経験OKの優良求人が多数!
MSジャパンは、会計事務所や経理の求人をメインで扱っています。
特徴は「未経験・資格なし」の人でも応募できる優良求人が多数あることですね(年収400万円〜など)
これから未経験で会計職キャリアをスタートしたい人におすすめです。
ジャスネットキャリア
経験3年以上の方におすすめ!高年収の求人多数あり
ジャスネットキャリアは、会計職の「実務経験者向け求人」が充実しています。
初年度年収600万円〜など、高年収の求人がたくさん掲載されていますので、経験者のキャリアアップ転職に使えます。
なお、実務経験3年未満の人は応募できない求人が多いのでMSジャパンを使いましょう。
マイナビ税理士
科目合格者向けの求人多数!
マイナビ税理士は、税理士有資格者または科目合格者におすすめです。
登録にあたっては税理士有資格者あるいは科目合格が1科目以上あることが条件になりますが、
BIG4税理士法人などの優良求人が多数登録されています。
すでにある程度税理士試験に目処がついている人が使うのにおすすめです。
ブラック事務所に間違って応募しないように要注意

(会計事務所の中には「ブラック事務所」もありますので注意しましょう)
ここまで見てきたように、
未経験・30代の人でも会計事務所に転職することは普通に可能です。
しかし、一点だけ気をつけて欲しいことがあります。
それは、雇用環境が劣悪な「ブラック事務所」にまちがえて転職してしまわないようにすることです。
私自身、10年間で3社の会計事務所を経験していますが、
1社目に入社した事務所は典型的なブラック事務所でした。

ブラック事務所の日常ははっきりいって悲惨です。
↓例えば以下のような感じですね。
- 繁忙期は毎日日付が変わるまで残業。残業代はなし。
- 手取り月収はたったの16万円。生活費と資格スクール受講費ですべて消えていく…。
- 激務すぎて勉強との両立なんて不可能。事務所内に合格者なんて1人もいない。
- 人格破綻のパワハラ所長に毎日責められ、うつ状態の新人が続出する職場。
- 先輩は「どうせ新人はすぐ辞めていくし」と仕事を教えてくれない…。
結局、うつ病になる寸前のところまでいってしまい、
この事務所は辞めて別の事務所に転職しました。
2社目の会計事務所では残業が非常に少なく、
勉強との両立を応援するスタンスの所長税理士だったので、
税理士試験の合格者も毎年ちらほら出るという恵まれた環境でした。
こうした経験から私が実感したことは、
同じ会計事務所でも、雇用環境は事務所によってまったく違うということです。
特に、働きながら税理士試験合格を目指す方は、
絶対にブラック事務所に入らないようにしてください。
ブラック事務所の激務に耐えながら税理士試験に挑戦するのはあまりにも無謀です。

ブラック事務所は少数派にはなっているが、まだ存在しているのも事実

(会計事務所に転職するなら、ブラック事務所に注意)
私が過去に経験したようなブラック事務所は、
現在はごく少数派になりつつはあります。
最近では会計事務所も人手不足で困っているところが多いですから、
雇用環境を整えて人材を積極募集しているところが多いでしょう。
しかしブラック事務所も少数ではあっても現在も存在しているのがこの業界の実情です。
特に避けて欲しいのは、
↓以下のようなスタンスで転職活動を進めてしまうことです。

こういう考えは「間違い」です
- どうせ数年後には独立するつもり。だから、職員時代の年収なんてあんまり関係ない。
- お給料をもらいながら実務を勉強させてもらえるならそれだけで十分
- 自分は年齢的にも若い方ではないし、この業界は未経験…。採用してもらえるだけでも感謝すべきかも…。
↑こういう考え方で転職活動を進めていくのは「間違い」です。
(私自身もこういう考え方で転職活動していたので、
ブラック事務所にまんまと入社してしまいました)
多くの人が将来は税理士として独立することを目指していると思いますが、
独立開業するためにも資金が必要ですから、お給料は高いに越したことはありません。
また、税理士試験の勉強を同時進行で進めていくなら、
繁忙期にも残業が少ない事務所や、
終業後の資格スクール通いをこころよくOKしてくれる事務所環境の方が、
早期合格につながるに決まっています。
つまり、30代未経験から税理士としてのキャリアをスタートする人であっても、
働く事務所の雇用環境にはしっかりとこだわって転職活動を進めていかなくてはいけないのです。

会計職専門の転職エージェント経由で求人応募するのがおすすめ
ではどうしたらいいのか?ですが、
結論から言うと転職エージェント経由で求人に応募するのががおすすめです。
転職エージェントが紹介してくれる求人は、
ブラック事務所はあらかじめ排除されていますので、安心して応募することができますよ。
(転職エージェントにお金を払っているのは採用を行う企業側だけですので、私たち求職者側は無料で使えます)
転職エージェントというのは、転職活動の支援を専門でやっている会社です。
もし、転職エージェントに紹介された求人がブラック事務所だったなんてことになると、
そのエージェント会社の信用は失墜してしまいます。
こんなことにならないよう、
エージェント会社は企業側の求人掲載にあたってはきびしい条件(雇用条件の明記)を設定しているのが普通なのです。
転職エージェントというフィルタを通して転職活動することで、
ブラック事務所にまちがえて応募してしまうリスクを大幅に下げることができますよ。
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転職サイトへの無料登録だけは今やっておきましょう。
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「今の職場にいづらくなって、どうしようもなくなってから始める」のではなく、
「精神的に余裕があるうちに始めておく」のがベターですよ。

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