税理士は社会人になってから勉強を始める人がとても多い国家資格です。
大学新卒でとりあえず就職したけど、手に職をつけたくて税理士を目指し始める人はとても多いですし、
30代からまったくの異業種から未経験で転職する人もたくさんいます。
中には「40代になってから一念発起して税理士を目指し始めた」という人もいますね。
実際、私が10年以上働いてきた会計事務所(税理士事務所)でも、
私を含めスタッフとして働いているのは、
20代後半〜30代の人たちでした。
なお、男女比率としては男性が圧倒的に多いです。
また、受験生の中には大学卒業後も職歴なしでずっと勉強しているという人も多いですね。
そもそも税理士業界は平均年齢がとても高い業界です。
↓税理士有資格者全体の9割近く(89.1%)は年齢40代以上と言われています。
税理士業界の平均年齢は高い理由としては、
税理士試験に「科目合格制度」があることが挙げられるでしょう。
一度合格した科目は生涯有効なので、例えば「毎年1科目ずつ受験し、5年間かけて5科目合格を目指す」など、忙しい社会人でも現実的な学習計画プランを立てることが可能になのです。
(税理士試験は「会計2科目+税法3科目=合計5科目」に合格する必要がある試験です)
なお、社会人として働きながら税理士を目指す人の多くは、
会計事務所(税理士事務所)で働きながら5科目合格を目指しています。
会計事務所では税理士としての実務をゼロから学ぶことができますので、将来的には税理士として独立を目指す人も、
まずは会計事務所で働きながら3年〜5年ほどかけて税理士を目指すのが良いでしょう。
ただし、注意して欲しいのが、労働環境が劣悪なブラックな会計事務所をまちがえて就職先に選ばないようにすることです。
これからキャリアスタートする未経験者の方ほど、この点は注意が必要です。
とても残念なことですが、税理士業界では労働環境が劣悪な「ブラック事務所」が一定数存在していることを知っておいてください。
ブラック事務所では、所長税理士と職員とは「師匠と弟子」のような雰囲気で、職員スタッフは丁稚奉公(でっちぼうこう)をさせられます。
繁忙期にはサービス残業が当たり前のように課せられますし、
給料が非常に安く、独身者はともかく家族がいる人は生活できないレベルの薄給で働かされてしまいます。
私自身、初めて入社した会計事務所が典型的なブラック事務所で、
劣悪な労働環境でとても苦しみました。
結局この事務所では3年弱ぐらい働きましたが、
その間に合格できた税理士試験科目はゼロです。
キャリア的にも本当にムダな時間を過ごしたと後悔しています…。
この令和の時代にまさかそんな…。
と思われる方もおられるかもしれませんが、これは現実です。
税理士業界って良くも悪くも古い業界なんです。
ブラック事務所では、試験勉強と仕事の両立はまず不可能です。
これはどんなに優秀な人でも同じです。
私は、ブラック事務所時代にものすごく勉強ができるし仕事もまじめな人たちがつぶされていくのをたくさん見てきました。
その一方で、職員スタッフが税理士試験との両立をしやすいように、
↓残業時間をゼロにするなど、ホワイトな労働環境の会計事務所も存在しています。
こうしたホワイト事務所は、事務所を組織的にどんどん大きくしていくことを目指しているのが特徴です。
事務所を大きくしていくためには、職員の定着率を上げることが必須です。つまり離職率を下げないといけません。
ホワイト事務所では、科目合格で資格手当が支給されたり、5科目合格後も勤務税理士として好条件で働けるなど、
職員スタッフの労働環境の整備に努めることで離職率を下げることを目指しています。
必然的にそこで働く職員スタッフへの給料や残業時間への配慮が行き届いているんですね。
ホワイト事務所とブラック事務所とでは、
職場環境的には「天国と地獄」ぐらいの差があることを知っておいてください。
ブラック事務所で働く受験生と、ホワイト事務所で働く受験生とでは、
税理士試験の合格率に大きな差が出ます。
今から3年後〜5年後に、ホワイト事務所で「科目合格を順調に重ねて後1科目!」という状況になっているか、
ブラック事務所で「仕事が忙しすぎて勉強時間の確保が全くできない。税理士試験は毎年全滅でいまだに科目合格ゼロ…」という状況で苦しむか…です。
当然望ましいのは後者ですよね。
人は良くも悪くも環境に左右される生き物です。
現在の年齢が30代以上で、社会人として働きながら税理士を目指す人は、
職員スタッフの税理士試験勉強を応援してくれるホワイト事務所を勤務先に選ぶようにしましょう。
どういう会計事務所を最初の勤務先に選ぶか?は、これから税理士業界でキャリアスタートする人にとって、本当に重要な選択になります。
くれぐれも注意してくださいね。
\ 受験生歓迎の求人多数あり/
こちらの記事もおすすめ
ブログ管理人
1985年生まれ。未経験ニートで会計事務所入社→月給16万円で地獄のような目にあう→何度か転職して年収600万円→会計事務所から経理に転職→現在は経理の管理職/2018年開始の当ブログも6年目突入!おかげさまで毎月1万人(累計34万人超)の方に読まれています。
この記事の目次
30代から税理士を目指すのは遅くない
現在30歳の社会人です。
これから未経験で税理士を目指そうと考えているのですが、
年齢的にきびしいでしょうか?
ちなみに会計関係の職歴なしです…。
この記事の冒頭でも説明しましたが、
30代から税理士を目指すのは決して遅くありません。
そもそも税理士業界は平均年齢がとても高い業界だからです。
私はこれまでに10年ほど税理士業界で働いていますが、
30代未経験からキャリアスタートする人はたくさん見てきました。
働きながら税理士試験に挑戦し、
最終的に資格取得して独立していく人もいますよ。
日本税理士連合会の統計によると、
↓税理士有資格者の年齢構成はこうなっています。
20代〜30代の税理士ってたった10.9%しかいません。
(20代0.6%+30代10.3%=10.9%)
逆にいえば、税理士の89.1%は40代以上の年齢ということですね。
↓また、最新の税理士試験結果(令和4年度)を見ても、
5科目合格者のうち80%以上は「31歳以上の人」でした。
- 31歳以上の合格者数=500人(274+112+114)
- 全体の合格者数=620人
- 500人÷620人=80.64%
つまり、税理士業界では30代はまだまだ若手なのです。
ちまたでは「35歳転職限界説」とかも言われてますが、
(未経験の職種に挑戦するなら34歳までという説)
税理士業界ではこれはまったく当てはまらないです。
30代から税理士を目指す人はたくさんいますよ。
税理士業界は「職歴なし」な人もかなり多い
これは実際に税理士業界(会計事務所)で働いた人なら実感することなのですが、
この業界は年齢高めでも意外に職歴が短い人が多いです。
税理士試験には科目合格制度があるので、
社会人が挑戦しやすい試験になっていることが理由としてあげられます。
用語解説
科目合格制度とは?
いったん合格した科目は、その後一生涯有効なルールのこと。
税理士試験は合計で5科目に合格する必要がありますが、例えば「1年に1科目ずつ、5年かけて合格」という現実的なプランを立てることができます。
社会人が働きながら合格を目指すのに適した試験といえます。
そのためか「20代はいろいろあって職歴がほぼないけど、
リベンジ目指して30代から税理士の勉強を始めた」という人が多いんです。
↓以下のような感じの職歴の人がたくさんいます。
- 20代はずっと目標がなくて、どんな仕事にも興味が持てなかったのでフリーター(ニート)でした。
- バンドマンやってたのでずっとフリーターやってました。
- 新卒で就職してすぐ結婚出産したので専業主婦やってました。
- 大卒で新卒入社した会社がブラックで退職し、その後いろんな会社を転々として税理士業界にいきつきました。
税理士試験そのものが社会人向けのルールになっていますので、
必然的に社会人(20代後半〜30代)になってから税理士を目指す人が多いのです。
この記事を読んでくださっているあなたがどのような状況であったとしても、
ゼロから税理士目指してリベンジは可能ということです。
税理士業界では学歴フィルターはほぼない
税理士という仕事はとにかく実力主義の世界なので、
いわゆる学歴フィルターのようなものはほぼありません。
中卒・高卒でも税理士として活躍している人はたくさんいます。
逆にいうと、東大・京大などの有名大学を卒業している人でも、
基本的にノーカウント扱いなので注意して下さい。
BIG4税理士法人など、外資系の大手税理士法人への転職を未経験者が目指すようなケースでは学歴がチェックされるようなことはあるかもしれませんが、
一般的な税理士事務所の採用試験で学歴が重要な判断基準になるケースはほぼありません。
>>給料安くて超激務な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
30代から税理士を目指す人が知っておくべきこと
1. 税理士事務所で働きながら合格を目指そう
すでに年齢的に30代になっている人は、
税理士事務所で働きながら税理士試験合格を目指しましょう。
税理士としての実務経験を積みながら勉強できるのにくわえて、
仕事と勉強の内容がリンクしているため、
実務経験を積むほどに勉強の内容も理解しやすくなっていきます。
税理士事務所の職員は、
「税理士補助」という区分になりますが、
仕事内容は税理士とまったく同じです。
例えば、試験テキストでだけ法人税の計算方法を勉強している人と、
実際に法人税の申告書を作りながら法人税法の勉強をしている人とでは、
当然ながら後者の方が理解が深くなるでしょう。
また、税理士事務所ではまわりの同僚にも税理士試験受験生が多いですから、
切磋琢磨(せっさたくま)しながら勉強や実務を学べる環境があります。
実際に、社会人として税理士試験に合格する人は、税理士事務所で働いている人の割合が圧倒的に多いですね。
働きながら税理士試験合格を目指すなら、
税理士事務所ほど最適な環境はありませんよ。
2.「勉強専念のためいったん無職」はやめた方が良い
ここまで読んでいただいている方の中には、
「とりあえず2年ぐらいは働かず勉強専念で…」
と考えていた方もひょっとしたらおられるかもしれませんが、
私はこれはおすすめしないです。
(というか、絶対やめた方が良いと思います)
そういう自由なことができるのは遅くとも20代後半までですね。
働き盛りである30代で無職のブランク期間を作ってしまうと、
あなたのキャリアは致命的に断絶してしまいます。
しかも、試験専念でスムーズに税理士試験に合格できればいいですが、
もし合格できない場合は悲惨なことになります。
少しでも早くちゃんとお金を稼げる税理士になりたい人は、
会計事務所で税理士としての実務を学びつつ、
毎年1科目ずつでも科目合格を確実に積み重ねていくことを目指しましょう。
年齢30代で無収入…というのはそれだけで精神的にかなりしんどいですし、
無職で勉強時間をたくさん確保しても、
その分だけ合格率が高くなるわけではありません。
税理士試験は実務で学ぶ知識と、教科書テキストで学ぶ知識をリンクさせながら学ぶ人の方が、理解は圧倒的に早いです。
(特に、税法の理論については試験テキストだけを読んでいてもほぼなんのことか理解できないと思います)
無職で勉強専念した場合、
20代後半〜30代という、社会人として一番大切な時期のキャリアが断絶してしまいます。
税理士試験は科目合格制度がありますので、
社会人が働きながらでも十分に目指せる試験ですよ。
「1年に1科目ずつ、5年かけて合計5科目」などのかたちで無理なく科目合格を積み重ねていきましょう。
3. 試験勉強との両立が可能な事務所を選ぶべし
「税理士試験は、税理士事務所で働きながら合格を目指すのがおすすめ」
という話をしましたが、
どんな税理士事務所を勤務先として選ぶか?
が決定的に重要であることを知っておいて下さい。
具体的には、職員の税理士試験勉強を応援していることを求人票で明示している事務所を選ぶようにしましょう。
↓例えば、こういう感じの事務所求人ですね。
4. 環境劣悪なブラック事務所に要注意
ひとくちに税理士事務所(会計事務所・税理士法人でも意味はほぼ同じです)といっても、
ものすごくいろんな環境の事務所があります。
中には職員のことをボロ雑巾のように酷使することしか考えていないブラック事務所も存在していますので注意して下さい。
私自身、未経験で入社した最初の事務所が
典型的なブラック事務所で、地獄のような目に遭いました。
こういう事務所に入ってしまうと、
税理士試験との両立なんて100%無理なので注意して下さい。
(実際、その事務所は20人前後の職員がいる中規模程度の事務所でしたが、その中で税理士士試験合格者が1人もいない…という状況でした)
>>給料安くて超激務な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
30代社会人から税理士を目指すキャリアプラン
現在30代社会人の方がゼロから税理士を目指す場合、
↓この3ステップが税理士を目指す最短ルートといえます。
1. まずは税理士事務所に入社して働き始める
まずは税理士事務所への入社を目指して転職活動をスタートしましょう。
働きながら税理士を目指すなら、
税理士事務所以上に恵まれた環境はありません。
社会人として働きながら税理士を目指す人のほとんどは、
税理士事務所で働きながら試験勉強を進めています。
同僚の職員の多くも税理士試験受験生なので、
切磋琢磨しながら働くことができますし、
終業後に資格スクールに通いやすかったり、
8月の税理士試験直前期(7月)に長期休暇を取れるなど、
働きながら税理士試験を目指せる環境があります。
未経験OKの税理士事務所求人はたくさんありますし、
基本的に人手不足の業界なので1年中求人が出ていますから、
1ヶ月〜2ヶ月程度で内定を得られるケースもありますよ。
2. 税理士としての実務経験を積みながら、科目合格を積み重ねていく
税理士試験は科目合格制度がありますので、
「1年に1科目・5年かけて5科目」など現実的な受験プランを組むことが可能です。
また、税理士実務は税理士試験の内容とリンクしていますから、
試験勉強で学んだ内容が実務能力アップにつながりますし、
逆に、実務で経験した内容が試験勉強の理解を深めてくれるのも魅力ですね。
例えば、法人税法の勉強をするとして、
テキストだけで勉強している人と、
実際に実務で法人税の申告書を作りながら勉強する人とでは、
後者の方が理解が深くなるのは当然です。
税理士試験の合格者に、税理士事務所の職員が多いのはこういう理由があるのです。
3. 試験合格後、独立またはキャリアアップ転職を目指す
税理士事務所で働きながら試験合格を達成することができたら、
そこからは税理士として独立を目指すか、
サラリーマン税理士としてキャリアップ転職を狙いましょう。
なお、税理士事務所職員の仕事は、
無資格者であっても、資格を持った税理士と全く同じです。
資格がなくても税理士とまったく同じ仕事をしますから、
入社してすぐに税理士としての実務経験を積み始めることができます。
税理士として登録するためには2年間の実務要件が必要ですから、
遅かれ早かれ税理士としての業務が経験できる職場(税理士事務所)で働く必要があります。
もっとも、これは税理士試験に合格する前の実務経験でも認められますから、
税理士事務所で働きながら勉強すれば、
実務要件を満たしながら試験勉強を進めることができ一石二鳥なのです。
>>給料安くて超激務な「ブラック事務所」で働きたくない人が知っておくべきこと
30代が会計事務所に未経験で転職した場合の平均年収は?
ネットの口コミでは税理士事務所は給料が安いというのが多いのですが、
これって本当ですか?
私は年齢が30代で家族もいるので、
できるだけ年収は下げたく無いのですが…。
未経験で会計事務所に入社する場合、
平均年収は300万円〜350万円程度と考えておきましょう。
実務経験者として転職できればもっと稼ぐことができますが、
未経験者として入社する場合はどうしても年収は低くなります。
もっとも、最近では税理士業界も人手不足ですから、
未経験でも給料が高めに設定されている事務所も増えてきていますよ。
↓未経験者OKの会計事務所求人の例
30代はブラック事務所に間違って応募しないように要注意
ここまで見てきたように、
未経験・30代の人でも会計事務所に転職することは普通に可能です。
ただし、一点だけ気をつけて欲しいことがあります。
それは、雇用環境が劣悪なブラック事務所に、
まちがえて転職してしまわないようにすることです。
私自身、10年間で3社の会計事務所を経験していますが、
1社目に入社した事務所は
典型的なブラック事務所でした。
ブラック事務所の日常ははっきりいって悲惨です。
↓例えば以下のような感じですね(実体験…)
- 繁忙期は毎日日付が変わるまで残業。残業代はなし。
- 手取り月収はたったの16万円。生活費と資格スクール受講費ですべて消えていく…。
- 激務すぎて勉強との両立なんて不可能。事務所内に合格者なんて1人もいない。
- 人格破綻のパワハラ所長に毎日責められ、うつ状態の新人が続出する職場。
- 先輩は「どうせ新人はすぐ辞めていくし」と仕事を教えてくれない…。
私は結局、うつ病になる寸前のところまでいってしまい、
この事務所は辞めて別の事務所に転職しました。
2社目の会計事務所では残業が非常に少なく、
勉強との両立を応援するスタンスの所長税理士だったので、
税理士試験の合格者も毎年ちらほら出るという恵まれた環境でした。
ひとくちに会計事務所といっても、
雇用環境は事務所によってまったく違うので注意してください。
ブラック事務所の激務に耐えながら税理士試験に挑戦するのはあまりにも無謀です。
ブラック事務所は現在も存在している
最近は、世の中でブラック企業への風当たりがとても強くなってますよね。
(私が社会人になりたての頃から考えるとずいぶん世の中変わった感じがします)
税理士業界もこれはある程度同じで、
私が経験したようなブラック事務所は少数派になりつつあります。
しかし、たとえ少数ではあっても
ブラック事務所は現在も存在しているのがこの業界の実情です。
↓特に、以下のようなスタンスで転職活動を進めてしまうと、
ブラック事務所に間違えて応募してしまうリスクが極めて高くなるので注意してください。
- どうせ数年後には独立するつもり。だから、職員時代の年収なんてあんまり関係ない。
- お給料をもらいながら実務を勉強させてもらえるならそれだけで十分
- 自分は年齢的にも若い方ではないし、この業界は未経験…。採用してもらえるだけでも感謝すべきかも…。
↑こういう考え方で転職活動を進めていくのは間違いです。
(私自身もこういう考え方で転職活動していたので、
ブラック事務所にまんまと入社してしまいました)
多くの人が将来は税理士として独立することを目指していると思いますが、
独立開業するための資金は職員時代のお給料からコツコツ貯めていかないといけません。
また、税理士試験の勉強を同時進行で進めていくなら、
繁忙期にも残業が少ない事務所や、
終業後の資格スクール通いをこころよくOKしてくれる事務所環境の方が、
早期合格につながるに決まっています。
つまり、30代未経験から税理士としてのキャリアをスタートする人であっても、
働く事務所の雇用環境にはしっかりとこだわって転職活動を進めていかなくてはいけないということですね。
まとめ
今回は、30代から税理士を目指す人向けに転職活動のポイントを解説しました。
税理士を目指して勉強しながら会計事務所で働く場合、
どの事務所で働くか?が決定的に重要です。
雇用環境が劣悪なブラック事務所を選んでしまうと、
税理士試験に合格できず、年収も低く、キャリアも築けない…
という最悪の状況になってしまうので、くれぐれも注意してくださいね。
[/st-mybox]
(追伸)給料安くて超激務な「ブラック事務所」で絶対に働きたくない人へ
- 税理士事務所ってどこも給料安すぎる…。
- 実務未経験で科目合格もなしだと搾取の対象って本当?
- 将来は税理士として独立目指すけど、今の年収はさすがにキツい…。
- 仕事が忙しすぎて税理士試験全滅…とか絶対避けたい。
- パワハラな所長税理士の下で丁稚奉公みたいに働きたくない…。
↑こんなふうに不満や不安を抱えている方、税理士志望者にはきっと多いと思います。
残念ながら、その不安が的中してしまうケースは少なくありません。
職員を「使い捨て部品」ぐらいにしか考えず、
安月給で搾取しまくるブラック事務所は2024年現在も普通に存在しています。
はっきり言って「令和のこの世の中で、いまだにこんなことやってるのか?」
みたいなブラックな事務所がたくさん存在しているのが現実です。
もちろん「税理士事務所のすべてがブラック」というわけではありませんが、
全体の2割は完全ブラック、
全体の6割はややブラック、
残りの2割だけがホワイト…
みたいな割合がリアルな実態でしょう。
(↓こんな感じ)
↑労働環境が良好な「ホワイト事務所」で働けているのは全体の2割の人だけ。
残りの8割の事務所職員は、ブラックな環境で苦しんでいる…というのが実際のところなんですね。
なぜ、こうなってしまうのか?ですが、理由は単純です。
税理士事務所ってどこもめちゃくちゃ小さな組織で、
しかも所長税理士のワンマン経営なので、
外からの批判にさらされることがないからです。
税理士事務所って、そのほとんどが「所長税理士合わせてスタッフ5名」みたいな感じの小さな組織です。
大企業の場合、ブラックなことやってたら新聞やテレビマスコミから批判されますよね。
でも、税理士事務所みたいに小さな組織が、
メディアに注目されることなんてほとんどないです。
一般企業のように株主と経営者が分離しているなんてこともありません。
基本的に「所長税理士=事務所のオーナー」なので、
ブラックなことやってても、誰からも批判されませんし、
労働組合みたいな「労働者の権利を守る組織」みたいなものもありません。
さらにいえば、ネット上でも「実際に事務所で働いた人たちの正直な口コミ」がめったに出てこないんです。
ただでさえ狭い業界な上に、所長税理士どうしの横のつながりが強いので、
自分の事務所の悪口をネットに書き込んだりすると、
すぐに気づかれてしまってヘタをすると業界にいづらくなる…。みたいなことすらあります。
みんな自分のキャリアを危険に冒してまで、ネットやSNSに口コミなんて書かないんですね。
こんなふうに、ブラック事務所を見分けるための情報が非常に少ないせいで、
まちがえてブラックな事務所に応募してしまう人が続出するんです。
しかも、完全ブラックな事務所ほど人を集めるのに必死ですから、
「うちはアットホームで家族的な雰囲気です!…」
みたいに求人サイトでアピールしたりするので、たちが悪いんですよね…。
ブラック事務所の求人を「最初から選択肢に入れない」ことが重要
これは税理士業界に限らずですが、
すでに志望業界が決まっている人は「業界専門の求人サイト」で求人を探すのが転職成功のコツです。
ブラック企業でも簡単に求人掲載できてしまうリ●ナビやハロワ、indeedとかとは違って、
業界専門サイトでは「最低限の年収や福利厚生条件を満たしているか?」が厳しくチェックされます。
そうしないと、求人数で勝負している大手リクナビに勝てないからです。
「うちは求人数ではリクナビには勝てませんけど、
求人の『質』ではリクナビなんかより圧倒的に良いものがありますよ」
↑みたいな感じで、ブラック事務所の求人をあらかじめ排除することで、質で勝負しているわけですね。
転職サイトの中にどんなに求人数がたくさんあっても、
当たり前ですが実際に働ける事務所は1つだけです。
すでに「税理士業界で働く」「将来は税理士として独立を目指す」とはっきり決めている人なら、
リクナビなどの一般向けサイトではなく、
税理士業界専門のサイトを使うのが鉄則ですよ。
↓税理士業界専門の転職サイトで、
最有力はヒュープロですね。
ヒュープロ(税理士業界専門の無料転職サイト)
ホワイト事務所の求人が見つかる!
ヒュープロは、税理士業界専門の無料転職サイトです。
未経験資格なしOKで年収400万円の求人
経験3年以上で年収660万円〜の求人
BIG4含む大手税理士法人の求人
税理士試験と両立できる残業なし求人
など、ホワイト求人が多数ありますよ。
>>10,097件の求人を見る
↓有名事務所への転職を目指す人には、
マイナビ税理士もおすすめ。
BIG4税理士法人〜国内独立系大手などの求人が多いです。
どっちも無料登録だけで使えるので、併用しましょう。
マイナビ税理士(科目合格1科目以上ある人におすすめ)
有名大手事務所の求人が豊富!
マイナビ税理士は、BIG4税理士法人をはじめとする有名事務所の求人を狙う人におすすめの無料転職サイトです。
KPMGやEYなど外資系大手の求人や、
辻本郷や山田&パートナーズなどの国内大手事務所の求人が多数ありますよ。
未経験者は科目合格が必須になりますが、税理士業界でハイクラスを目指す人にはおすすめの転職サイトです。
>>1,500件の求人を見てみる
未経験資格なしOKの求人から、
実務経験2年以上なら年収600万円スタートなどの高年収求人、
在宅ワークもOKで税理士試験との勉強両立がしやすいワークライフバランス型求人など、
好条件なホワイト事務所の求人が多数見つかります。
無料アカウント登録で、1万件以上の会計求人の中からしぼりこみ検索できますよ。
↓実際の求人結果を少しお見せするとこちら。
未経験でも年収400万円〜と好条件な求人が多いです。
(画像クリックで拡大します)
↓実務経験者向けの求人ではこんな感じです。
BIG4含む大手事務所〜資産税特化型の事務所まで求人豊富。
税理士業界専門の中では最大手クラスなので信頼性が高いサイトです。
無料アカウント登録が必要ですが、完全匿名で使えるサイトなので安心ですよ。
税理士業界志望者はリク●ビやハロワ、indeedは使わない方が良い
私は、税理士業界で転職するなら、
リクナビやハロワ、indeedなど、
「一般向け求人サイト」は使わない方が良いと思ってます。
なぜかというと、登録されている求人の質があまりにも低すぎるからなんですね。
実際、私が1社目に入社した事務所は完全にブラック事務所だったんですが、
この事務所はハローワーク経由で応募しました。
(窓口の職員さんに「こちらは特におすすめですよ」と紹介されました…)
私も後から知ったんですが、ハローワークの相談員って、
彼ら自身が非正規職員だったりするんです。
はっきりいってけっこういい加減なんですよね…。
税理士業界への転職を検討している方は、
厳選された求人だけが掲載されている専門サイトを使いましょう。
リクナビやindeedと同じように完全無料で使えるサイトなので、こちらを使わない理由はないです。
(みんな知名度だけでリクナビを選び、失敗します)
↓上記サイトでは、例えば以下のような好条件な税理士事務所の求人を見つけることができますよ。
- 未経験・資格なしでも年収400万円スタートの求人
- 実務経験3年以上なら年収600万円スタートの求人
- 税理士試験と両立できるワークライフバランス重視の求人
- 在宅リモート勤務OKな税理士事務所求人
- 税理士事務所から経理の転職歓迎の求人
- 相続税申告の実務経験を積むことができる事務所求人
- 将来的に独立を目指すのもOKな事務所求人
なぜ「最大手のリ●ナビ」をおすすめしないのか?
転職サイトっていろんなところがありますよね。
リク●ビとかindeedの方が「学生時代の就活とかでも使ってなじみがあるし、Googleで検索したときに上の方に出てくるから安心」と思われる方も多いかもしれません。
ただ、個人的にはこういう転職サイトの選び方はおすすめしません。
リクナビとかindeedって、企業側が求人掲載をする料金が以上に安い上に、
ろくな審査もないのでブラックな事務所でも求人出し放題なんですよね…。
あと、税理士業界って採用側も応募側も、ニーズがかなり特殊です。
採用側(事務所側)は繁忙期と閑散期で採用の難易度をガラッと変えてきたりしますし、
応募側(私たち)も税理士受験生なので仕事と勉強の両立がマストだったり、
社会人から勉強スタートの人が多く、キャリアスタートの年齢が高めだったりと、
一般的な転職活動とは事情がかなり異なるケースが多いんです。
特に未経験者の方は、年収が極端に低い事務所(年収200万円代など)に応募しないように注意しないといけません。
実務経験者はともかく、業界的な年収相場をよく知らない未経験者を狙って、
「うちは勉強しながら働けますよ!(なので年収は低くても我慢してね!)」
みたいな感じで、極端に低い年収で募集をかけているブラックな事務所は本当に多いんです。
↓以下のいずれかに該当する人は、
税理士業界専門の転職サイトを使って求人を探すようにしましょう。
- 税理士試験との両立ができる事務所で働きたい人
- 毎年「1年に1科目」などのかたちで、着実に科目合格を積み重ねていきたい人
- 業界相場より低年収の事務所にまちがえて応募する愚を避けたい人
- 将来の独立を見すえて開業資金をちゃんと貯金していきたい人
- 税理士試験に失敗した場合に備えて、企業経理への転職という選択肢も検討している人
>>税理士業界専門の転職サイトで求人検索してみる
(メールアドレスの無料登録が必要です)
忙しくて今すぐは転職活動できない…という人へ
「転職したいけど、今すぐは転職活動は始められない。
ひょっとしたら今の勤務先に残るのがベストかもしれないし…。」
↑今の環境にいろいろ不満はあるけれど、
なんとなく不安で動けなくなっちゃってる方も多いでしょう。
転職活動なんて人生でそう何回もやることじゃないですし、
そのわりに人生に与える影響がデカくて不安になっちゃいますよね。
私自身もブラックで働いている時に経験したことなんですが、
今いる職場でストレスがマックスまで溜まると、
まじで何も行動する気がなくなるんですね。
転職って年齢的に若ければ若いほど有利なのが現実ですし、
精神的な疲労が溜まってくると人間って正常な判断が効かなくなってきます。
どんなに時間がなくて忙しい人も、
受動的に(受け身で)入ってくる状態にしておくことが大切です。
希望年収や勤務地などを転職サイト内で入力しておくと、
マッチする最新のおすすめ求人がメールが定期的に入ってきます。
↓ある日の私のメールボックスをお見せすると以下の画像のような感じ。
あらかじめ自分で入力した年収などの条件にマッチする求人が出たら、
最速でメール通知してくれるので見逃しがなくなります。
↑良さげな求人が見つかったらブックマーク保存しておきましょう。
これやっとくだけで、「どうしてもつらくなったら転職もある」という選択肢を持つことができます。
過労やストレスでぶっ倒れる前に行動を起こすことができますよ。
転職サイトは完全無料で情報リサーチに使えて、いつでも即解除できます。
変な電話連絡が来るようなこともないです。
無料で使えるものは徹底的に使い倒しましょう。
よくある質問と回答(Q&A)
転職サイトに関して、
あるあるな疑問とそれに対しての回答を載せておきます。
転職サイトは本当に無料?なぜ無料?
転職サイトは、企業や事務所が払う紹介手数料(広告料)で運営されています。
お金払ってるのは企業側だけなので、
私たち求職者側は最初から最後まで完全無料で使うことができますよ。
後からお金を請求されるとかはいっさいないので、安心して求人リサーチに使い倒しましょう。
転職サイトに登録したら電話セールスとかうるさくない?
転職サイトの登録は基本的にメールアドレスだけでできるので、
電話はかかってこないですね(相手はこちらの電話番号を知らない状態)
定期的に「こういう求人出てきましたけどどうですか?」みたいな連絡はくれますが、基本的にはメールオンリーです。
未経験資格なしでも応募できる事務所ってあるの?
これは実際に求人検索してみるのが早いかもしれませんが、
税理士事務所って未経験OK求人が意外に多いです。
ただ、リクナビとかハロワで探すと年収200万円台…みたいな、
完全ブラックな事務所もわんさか出てきたりするので、くれぐれも注意してください。
未経験無資格でも年収400万円以上の求人ぐらいなら、普通にたくさんありますよ。
複数の転職サイトを同時に使っても問題ない?
これはまったく問題ないです。
むしろ、たくさん使った方がいろんな求人に出会えるチャンスがひろがるので、2社〜3社ぐらいを使い回す方が良いでしょう。
転職サイトには無料のエージェントサービスがつくことが多いですが、
担当してくれるエージェントとの面談に進んだような場合には、
他社のエージェントからも話は聞いてますぐらいに教えてあげると親切かもしれませんね。
(求人リサーチのために転職サイトを使いたい用途の場合には、そもそもエージェントとのやり取りは発生しません)
最後の最後にお伝えしたいこと
↓仕事や転職で成功するために大事なのって、結局はこれです。
転職活動でもっとも重要なのは、能力やスキルより情報収集です。
具体的には、どの転職サイトを使うか?(リクナビなどの「一般向け」を使うか?税理士業界専門か?)で大きな差がつきます。
税理士業界は、能力的にとても優秀なのに、
転職活動のやり方がまずかったのが原因で、
ブラック事務所で働くことを余儀なくされている人…がものすごく多いです。
転職サイトへの登録なんて、実際には1分でできる作業です。
お金もかかりませんし、気に入らなければ即解除できるのでリスクなんて何もありません。
それでもやらない人はやらないですし、やる人はさくっととやります。
↓今から5年後に、あなたはどちらになっていたいでしょうか。
- 劣悪な雇用環境で給料も安く、税理士試験もいつまでたっても科目合格ゼロ…。貯金もゼロ…。
- 働きながらスピーディに5科目合格達成。年収高めなので独立資金のめどもある程度ついている。あとは税理士としての実務能力を高めていくだけ…!
↑この前者は実は過去の私の姿そのもので、
今思うと「もっと早く行動しておけばよかった」と後悔しています。
この記事を読んでくださったあなたは、もちろん後者を目指してください。
いまどんな状況にいる人でも、
成功に向かって一歩踏み出すことは可能です。