- 税理士試験の科目合格にはどのぐらい価値がある?
- 就職・転職活動で有利になることはある?
- 税理士試験の科目組み合わせは影響ある?

税理士試験の科目合格があると、転職活動で有利になりますか?
例えば、日商簿記の1級を持っているのと、科目合格があるのとではどちらが評価が高いでしょうか?
税理士試験の科目合格を持っていることは、採用での評価アップになります。
会計事務所の採用では「科目合格があるかどうか」で採用の可否が決まることもありますよ。

私は、20代のときに会計事務所(税理士事務所)でキャリアスタートし、10年間で3社の事務所で働きました。
事務所の人材採用担当をしていたこともありますので、採用側がどのあたりを見て採用を決めているのかアドバイスできます。
この記事でわかること
- 税理士試験の科目合格の価値がわかります。
- 評価される税理士試験の科目の組み合わせがわかります。
- 税理士試験の受験計画の立て方がわかります。
- 会計事務所の求人が見つかる場所がわかります。
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なお、「どの科目に合格しているか?」も重要ですので、科目選択のポイントについてもこの記事で解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
「税理士試験の科目合格者」の転職市場での価値は?
税理士試験の科目合格者は、転職採用でも高い評価を受けます。
採用担当者は、税理士試験の簿記論や財務諸表論が、
日商簿記1級よりも難易度が高いことは当然理解していますよ。

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いくつか求人をピックアップして紹介しましょう。
↓※会計事務所の求人

(科目合格を評価対象としている会計事務所の求人:この求人はMSジャパンに登録されています)

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会計事務所だけでなく、一般企業の経理職の採用でも税理士試験科目合格は評価してもらえます。

↓※経理の求人

(科目合格を評価対象としている経理の求人:この求人はMSジャパンに登録されています)

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登録にあたっては税理士有資格者あるいは科目合格が1科目以上あることが条件になりますが、
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すでにある程度税理士試験に目処がついている人が使うのにおすすめです。
転職市場での価値を高めるなら「税法3科目の組み合わせ」が重要
税理士としての実務キャリアまで見すえるなら、「どの科目を持っているか?」も重要な評価基準になります。
「選択科目である税法3科目について、どういう選択をしているか?」によって、
採用担当者の評価が変わるというわけですね。
なお、会計2科目(簿記論と財務諸表論)については選択の余地はなく、必ず受験しないといけません。

これから税理士試験の勉強をスタートする段階の方なら、「実務で役立つ」という視点で試験科目を選ぶようにしましょう。
選択した科目によって「どういう税理士を目指しているのか」を明確にアピールできますから、採用担当者の評価も高まります。
また、実務を見すえて勉強した方が頭に入ってきますので、結局は短期合格につながる可能性が高いです。
重要ポイント!
- 税法3科目についてどういう選択をしているか?は転職活動の有利・不利に影響する
- 実務を見すえて試験勉強する方が、頭に入ってきやすく短期合格につながる
少なくとも、会計事務所で働きながら合格を目指すなら、
会計事務所の実務と横断で理解を深められる科目(法人税法・消費税法・所得税法・相続税法)を選択するのが合理的です。
例えば、仕事で法人税申告書の作成をやりながら法人税法の試験勉強をする人と、テキストや問題集でだけ試験勉強をする人なら、
当然ながら前者の方が理解は早いわけです。
単純に「試験範囲のボリュームが少ないから」という理由で、
実務での利用頻度がほぼない酒税法や国税徴収法を選ぶのはあまりおすすめではありません。
「法人税法+消費税法+アルファ」で考える
実務を見すえて科目選択を行うなら、法人税法と消費税法をベースに選択すると良いでしょう。
これら2つは実務で必ず必要になる知識です。
法人税法と所得税法のいずれか1科目(もしくは両方)は選択必修ですが、
どちらかを選ぶなら断然、法人税法を選ぶべきですね。
所得税法も利用頻度は高いですが、基本的には個人事業主の顧客を想定した実務知識になるからです。
実務を見すえて科目選択するなら
- 法人税法・消費税法の両方を含める
- 所得税法よりも法人税法を選ぶ
個人事業主の顧客というのは、基本的にまだ事業を始めてまもない事業者さんが多いです。
(つまりあまり儲かっていないお客さん)
高い顧問料をもらえる法人企業顧客を担当できる税理士になって、バリバリ働きたい!という人は、法人税法を選択しておくのが望ましいのです。
↓以下ではこの前提で、いくつか試験科目組み合わせの具体例を紹介しましょう。
組み合わせ①「実務オールマイティ」を目指す
↓実務についてのオールマイティを目指すなら、法人税法と所得税法の両方について選択しているのが理想です。
- 法人税
- 消費税
- 所得税
会計事務所の仕事は、個人事業主の税務申告(所得税)と、法人企業の税務申告(法人税)が基本になります。
消費税の申告は個人事業主、法人企業ともに必要です。
ただし、この選択方法は試験対策のボリュームが非常に大きくなります。
「勉強にはかなり自信がある!」という人向けですね。

↓※参考までに、資格スクールが発表している試験科目別の平均勉強時間を載せておきます。
- 600時間:法人税法・所得税法
- 450時間:簿記論・財務諸表論、相続税法
- 300時間:消費税法
- 250時間:固定資産税
- 200時間:事業税・住民税
- 150時間:酒税法・国税徴収法
組み合わせ②「資産税実務家」を目指す
↓資産税特化型の会計事務所を目指す場合、相続税法の科目合格があることは高評価につながります。
- 法人税
- 消費税
- 相続税
税理士にとって、相続税申告業務などの「資産税業務」は「お金の稼げる仕事」であることをぜひ知っておいてください。
資産税業務は求められる実務知識が特殊ですので、業務として扱っている事務所とそうでない事務所があります。
当然ながら、資産税に対応している事務所では年収も高い傾向がありますね。
↓※未経験OKの資産税事務所の求人

(資産税特化型の会計事務所求人:この求人はMSジャパンに登録されています)
一般的な会計事務所で3年〜5年程度実務経験を積んだ後、
資産税特化の事務所に転職するというのは、この業界では定番のキャリアアップ方法です。

↓※実務経験者向けの資産税事務所の求人

(資産税特化型の会計事務所求人:この求人はMSジャパンに登録されています)
また、これから税理士を目指す人にぜひ知っておいてほしいこととして、
「近年、事業承継関連の法制度整備が急速に進んでいること」があります。
これは「企業経営者が後継者に経営をひきつぐときに、発生する贈与税や相続税をいかに少なくするか?」の対策を行う税理士の専門業務で、事業承継税制といわれるものです。
事業承継税制は「後継者への経営のバトンタッチ」という重要な場面で、税務の専門家としてサポートを行う税理士業務です。
当然ながら「大きなお金が動く業務」になりますので、今後の税理士業界の一つのトレンドになるでしょう。

中小企業の事業承継やM&Aに興味がある方は、資産税事務所で実務経験を積むことを目指すと良いでしょう。
そのためには、相続税法を選択科目に入れておくことが強みになります。
組み合わせ③「試験では最低限の実務知識が身につけばOK」を目指す
↓「試験勉強では最低限の実務知識が身につけばOK」と考える方は、以下のような科目選択がおすすめです。
- 法人税
- 消費税
- 事業税(または固定資産税)
法人税法と消費税法に合格していれば、「実務を見すえて科目を選んでいる」という最低限のアピールが可能になります。
事業税・固定資産税は実務での利用頻度は低いのですが、法人税法と消費税法の合格がある人ならネックになることはないでしょう。
なお、酒税法や国税徴収法については、実務での利用頻度が低くなりすぎるため、やはりおすすめはできません。
履歴書をみたときに酒税法や国税徴収法があると、
「実務より試験合格を優先した人なんだな」ということがわかってしまいます。
「それでもいい!」と言ってしまえばそれまでですが、採用担当者に与える印象はやはり違いますね。
税理士としての実務能力にも差がつく可能性があります。

また、住民税は所得税法の知識が前提になっています。
選択必修で法人税法を選択する場合には、科目選択上の相性が悪くなることも知っておきましょう。
戦略的に5科目合格を目指すための3つのポイント
↓社会人の方が税理士を目指すなら、以下の3つのポイントを押さえて受験計画を立ててみてください。
- 会計事務所で働きながら試験勉強を進める
- 2回以上受験する科目も計画に入れる
- 勉強との両立が可能な雇用環境を選ぶ
社会人の方にとって、税理士試験への挑戦はどうしても長期戦になります。
なので、上の3つはいずれも最終合格を目指す上でとても重要なポイントです。

会計事務所で働きながら試験勉強を進める
社会人の人が働きながら税理士試験合格を目指すなら、
会計事務所で働きながら試験勉強を進めていくことを強くおすすめします。
理由としては、会計事務所での税理士補助業務と、税理士試験で勉強する内容とは、お互いに補完し合う関係にあるからです。
つまり、会計事務所の実務で学んだことは税理士試験勉強の理解を深めるのに役立ちますし、
税理士試験対策で勉強したことは、会計事務所の実務をする上で役立つというわけですね。

もちろん、「1年間〜2年間ほど仕事から離れて受験に専念する」というのも一つの選択肢ですし、実際そうする人は一定割合います。
↓しかし、実務から離れることは以下のようにメリットとデメリットがあることは理解しておく必要があるでしょう。
受験専念の場合
受験専念のメリット
- 時間と体力のすべてを試験勉強に使える
- うまくいけば短期合格を狙える
受験専念のデメリット
- 収入が途絶える
- キャリアが断絶する(ブランク期間が生じる)
- 結局、受験失敗した場合に悲惨なことになる
- 精神的なプレッシャーがハンパない
働きながら勉強の場合
働きながら勉強のメリット
- 収入を得ながら勉強できる
- 勤務先に会計事務所を選べば、実務と関連付けながら勉強を進められる
- キャリアを積みながら勉強を進められる
- 5科目合格したらすぐに独立できる
働きながら勉強のデメリット
- 長期的(5年以上など)受験計画が必須
- 仕事が優先なので、要領の良さが求められる
- 勤務先が受験を応援してくれるかが重要(対策は後述)
参考までにお伝えすると、会計事務所で働いている人の中には、働きながら5科目合格を達成する人が非常に多くいます。
いずれを選択するか?はあなたの人生の選択次第ですが、
「人にできるなら自分にもできる」と考えるか、「自分にはできない」と考えるかはとても大切です。
2回以上受験する科目も計画に入れる
働きながら5科目合格を目指すなら、「毎年1科目を確実に合格する」という計画よりも、
「難易度の高い科目は2年以上かけて対策する」という計画の方が合理的です。
特に、法人税法は一発合格できる人は非常に限られていますので、2年〜3年かけて合格を目指すようにしましょう。

↓例えば、税法選択を「法人税法・消費税法・相続税法」の3科目で行くなら、以下のような受験計画が考えられます。
- 1年目:簿記論+財務諸表論
内容的に共通部分が多い会計2科目を同時に受験します。
いずれか1科目の合格を目指しましょう(2科目合格できれば理想的) - 2年目:(不合格科目)+消費税法
1年目で不合格になった科目と、消費税法に挑戦します。
消費税法は税法科目の中では比較的勉強しやすく、実務上の必要性も高いので、最初に挑戦する税法科目に適しています。
受験する全科目に合格できるのが理想ですが、1科目は不合格でもOK。 - 3年目:(不合格科目)+法人税法
法人税法の勉強をスタートします。
法人税法以外の科目はここで合格できれば理想的ですが、最悪、翌年に持ち越してもOKです。
法人税法についてはおそらく一発合格は困難ですので、翌年の再受験を前提に対策を考えましょう。 - 4年目:(不合格科目)+法人税法+相続税法
3年目に不合格となった科目にプラスして、相続税法の勉強をスタートします。ただし、2年目・3年目の不合格科目の合格を優先で勉強を進めましょう。
法人税法と相続税法のどちらか1科目に合格しておきたいですが、翌年に持ち越してもOKです。 - 5年目:法人税法+相続税法
残ったいずれかの科目(法人税法か相続税法)を受験します。ラストスパートです!
勉強との両立が可能な雇用環境を選ぶ
働きながら税理士試験に挑戦する場合、「勤務先が試験勉強を応援してくれるか?」は非常に重要な問題です。
終業後に資格スクールに気がねなく通えることや、試験直前期に長期休暇を取得できることは、
試験の合否に直結する可能性があります。

会計事務所で働きながら合格を目指すなら、以下の2点をふまえて求人を探すようにしてください。
- 「職員の試験勉強を応援します!」を前面に出している求人を選ぶ。
- 「先輩職員にどのぐらい有資格者(科目合格者)がいるか」をチェックする。
1.については、会計職専門の転職サイトを使えば容易にしぼりこむことができますね。
↓例えば、以下のような求人があります。

(職員の試験勉強を応援している事務所例:この求人はMSジャパンに登録されています)
一方で、2.については転職サイト上で情報を得るのがなかなか難しいので、
転職エージェント経由で情報を得ることが必要になります。
↓転職エージェントに相談すると、以下のような情報を「求人に応募する前」に知ることができます。
エージェント経由で知れる情報
- いっしょに働く人たちの年齢構成や男女比は?
- 科目合格者や5科目合格者は何人いる?
- 所長税理士の性格や雰囲気は?
- 残業や休日出勤はどのぐらいある?
- 残業代はきちんと出る?年間休日は?
- 試験直前期の長期休暇取得は可能?
↓転職エージェントは、転職サイト内で連絡先を登録しておけば無料で相談できますので、活用しましょう。

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